四月号(R3)

未央の俳句

誌友の雑詠    古賀しぐれ選

 

    表まで飛び出して来る嚏かな    北川栄子

 

    

古賀しぐれの評

  

  

 真に単純明快なる一句。嚏のことしか表現されていない。家の中に居る人が大嚏をした。その嚏は表を歩いている人にまで届いたのだ。しかしこの表現から、がらんとした家の佇まい、表通りに面しているが余り賑やかではない町の雰囲気までが想像出来る。嚏のみに焦点を当て、他の一切の情報を消したことにより、余計に嚏の大きさ、響きが読者に伝わってくる。虚子の説く単純化、具象化が成された一句と言えよう。そして下五に「嚏かな」と置くことにより、「表まで飛び出して来る」の種明かしとなる構成が、より句を面白く仕上げている。

 

 

 




    弾かるる帝の恋の歌かるた     雑賀みどり

 

 

古賀しぐれの評

   

  

 藤原定家選の小倉百人一首。天智天皇から後鳥羽上皇、順徳天皇の時代に至るまでの百人の歌人の歌が納められている。その百人一首の歌かるたは正月の遊びとして今なお親しまれ、競技にさえもなっている。恐れ多くも、帝の恋歌の札を弾いたという表現が楽しい。帝の歌に焦点を絞り、先ず「弾かるる」とした上五からの導入の構成の面白さが、この句の一番の魅力となっている。

 

 





    月影の星影の磨ぐ軒氷柱      小野田まもる

 

 

 

古賀しぐれの評 

  

  

 「月影と星影」という措辞から、その夜の晴れ渡り、深々とした寒さが伝わってくる。そしてその煌々とした光が軒氷柱を磨き上げ、その軒氷柱は蒼く冷たく輝いているという情景までもが見えてくる。月影と星影の情報のみで、軒氷柱のその夜の姿を見事に浮かび上がらせた手腕は流石。この句にも単純化、具象化の精神が生かされている。

 




さくらんぼ(高校生以下の作品)   福本めぐみの評

 

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姉少し遠く感じる成人式     高三 本城由比奈

 


 

福本めぐみの評

 

  

 成人式は本人にとってはもちろん、周りの家族にとっても特別な日なのです。生まれた時から側にいた姉。側にいることが当たり前で、何をするにも、お手本になってくれたり相談に乗ってくれたりした姉が、美しく晴れ着を着て急に大人びてみえる姉に、近寄りがたい気持ちがして距離をおいてしまっているのです。姉妹の微妙な関係が伝わってきます。

 



 

 

 
雪晴れの下で震える体操着     高一 山村真市

 

 

福本めぐみの評

 

  

 雪が降りやんで晴れると降っている時より寒い事があります。体育は屋内であるのかなと思っていたら、雪が止んだからって外で授業です。コロナ禍で三密を避けなければならないのでしょう。仕方ないですね。寒い!震えは止まりません。でも、その後いっぱい運動して暖かくなったのではありませんか?

 



 


 

 

こたつ虫母が名付けた姉のこと        中一 奥村瑛太

 

 

福本めぐみの評

  

 「こたつ虫」楽しいですね。一度こたつに入ったらもう出て来ないお姉ちゃん。何を言っても、生返事、動こうとしません。それどころか、宿題も、漫画もおやつも全部こたつの中に持ち込んだりして・・・なんて、正に筆者がこんな感じです。お姉ちゃんの気持ち、ものすごく分かります。

 


 

 

 

 

さくらんぼの句

  

        さくらんぼの句   福本めぐみの評

 

 

姉少し遠く感じる成人式     高三 本城由比奈

 成人式は本人にとってはもちろん、周りの家族にとっても特別な日なのです。生まれた時から側にいた姉。側にいることが当たり前で、何をするにも、お手本になってくれたり相談に乗ってくれたりした姉が、美しく晴れ着を着て急に大人びてみえる姉に、近寄りがたい気持ちがして距離をおいてしまっているのです。姉妹の微妙な関係が伝わってきます。

 

教室の視線は窓に初雪に     高一 狩屋佑菜

 誰が先に初雪に気付いたのでしょう。授業中なのでしょう、静かに静かに視線だけが窓の外に向けられて行きます。その数分の静かさに初雪への特別な感情を読み取ることができます。教鞭をとる教師もまた、初雪に心を動かされているのです。

 

雪晴れの下で震える体操着     高一 山村真市

雪が降りやんで晴れると降っている時より寒い事があります。体育は屋内であるのかなと思っていたら、雪が止んだからって外で授業です。コロナ禍で三密を避けなければならないのでしょう。仕方ないですね。寒い!震えは止まりません。でも、その後いっぱい運動して暖かくなったのではありませんか?

 

雪ふっていつもの音が消えてゆく      中一 難波美帆

降り始めた雪に景色が染め変えられていきます。それと同時に生活の音が小さくなっていることに気付きました。消えてゆくという表現に雪の静かさがさらに強調されていると思います。

 

氷割れ友達落ちた芦屋川          中一 山村竜暉

芦屋川に氷が張ったのです。この日の氷はきっといつもより部厚かったのです。石ころを投げてもびくともしないような、スケートでもできそうな位です。そんな、話にでもなったのでしょう。お友達はちょっとその気になったのかな。足で確かめてみたらいけそう!でも、いけなかったのです。残念です。笑いごとで済んだのかしら。風邪をひかなかったかな?

 

こたつ虫母が名付けた姉のこと        中一 奥村瑛太

「こたつ虫」楽しいですね。一度こたつに入ったらもう出て来ないお姉ちゃん。何を言っても、生返事、動こうとしません。それどころか、宿題も、漫画もおやつも全部こたつの中に持ち込んだりして・・・なんて、正に筆者がこんな感じです。お姉ちゃんの気持ち、ものすごく分かります。

 

お年玉おやになってももらいたい         小六 狩屋堂明

お年玉ってうれしいですね。いくつになってもうれしいですよ。お年玉セールなんてあったらお金じゃなくてもうれしいです。この気持ちは、子どものころに親やおとなからお年玉をもらったうれしい経験があったからでしょう。堂明君もおやになったらたのしいけいけんを子どもにさせてあげてね。そうしたら、おやになってもお年玉もらえると思います。

 

書初めの筆に指先全集中           小五 難波孝太朗

毛筆の筆先の入りが最もお習字で気を使うところです。書初めとあってはなおさらです。入りと払いができたらかっこいいです。精神を統一して全神経を集中!「全集中」鬼滅の刃の炭治郎のように頑張ったのですね。書初めと炭治郎・・どちらもすみ(墨・炭)が決め手ですね。

 

寒ぶりでしゃぶしゃぶをしてまんぞくだ        小五 倉田智浩

寒ぶり、美味しいですね。中でも作者はしゃぶしゃぶが美味しいとおっしゃる。大人ですね。寒ぶりのしゃぶしゃぶで家族団らん。お鍋もいろいろありますが家族の顔が見えることがいいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                   子馬        

                             


 

       

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