古賀しぐれの評
雛の五連作である。蔵から雛を出し飾り付け、月光に包まれる雛を丁寧に描いている。雛の句は毎年毎年創られてゆくのでどうしても類想的な句となってしまう。そして叙情過剰な華美な句となってしまいがち。しかし、この作者は冷静に雛を眺め、至極客観的に雛を描いている。掲句にしても、「ひととせの闇を労ひ」で何のことかと思えば「雛飾る」でなるほどと言うことになる。一年間狭い雛箱の闇の中に閉じ込められていた雛。一年ぶりにこの世の明るい空間に出された瞬間を作者独特の感慨を以って詠まれた。雛に対する深い愛情が感じられる。他の四句も他の類想を許さない独自性があり、雛を詠む切り口がそれぞれに面白い。バリエーションが豊かな雛の句の連作となった。
古賀しぐれの評
「雪間」は春となり雪の間に地面の現れること。春の息吹
を感じる季題である。地面には虫も出てくるであろう、雪間草も生えるであろう。それを狙って鳥たちも集って来る。そこを狙って探鳥のレンズを向ける。理に適った行動である。言葉で言ってしまうと面白味はなくなるが、掲句の詠みがシンプルで一点集中であり、切り口が鋭く面白く描かれている。なるほどと納得させる句の力がある。
古賀しぐれの評
「禍も福も天のまたたき」そういう風に言われてみると、そうかもしれないと思える。人生なんて天の動きからしたら瞬きよりも短いもの。人の世の禍も福も天まかせなので
ある。禍を嘆き、幸福を喜んでいる間に一生なんて瞬く間に過ぎてゆく。「鬼やらひ」なる習わしで心を鎮め、俳句を楽しんで生きてゆこうではないか・・・。
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福本めぐみの評
去年よりじょうずになったスキー。経験しているのだからじょうずになっているのは当たり前のように感じますが、去年のぎこちなかった自分の心に今年は少し余裕が生まれて積極的になっています。今年の自分は明らかに去年の自分とは違うことを実感しているのです。成長するってすごいことです。
福本めぐみの評
えほうは恵方と書きます。その年、その年の、神様の来られる方向を示しているそうです。昔は、お正月にその方向にある神社へ初詣にでかけたようです。恵方巻はお寿司屋さんの宣伝で始まったようです。関西では節分によく食べられるようになりました。恵方にさほど関心がなかった私もこの時ばかりは恵方を気にして今年はどっち?とその方向を向き無言で巻きずしをかじります。「今年もみんな元気で過ごせますように」と。作者も家族で恵方を向いて無言で食べたのでしょうか。なにをお祈りしたのでしょう。
福本めぐみの評
サッカーでしょうか。「さとしくん」とよびかけてボールをけったらみごとにパスがとおって、さとしくんはゴールを決めたです。はるきたるといいきったところが、ばっちりきまってことばのナイスシュートです。さとしくんというなまえの明るさがはるをよびこむようです。
さくらんぼの句
さくらんぼの句 福本めぐみの評
校庭の雪の菩提樹要なる 高三 本城由比奈
給食の海苔を取り合う受験生 高一 山村真市
氷解け流れ始めた芦屋川 中一 山村竜暉
客を待つ玄関先のチューリップ 中一 奥村瑛太
公園のすみっこが好き白すみれ 中一 難波美帆
生まれた日建国記念とくべつだ 小六 狩屋堂明
こたつではみんなの足でいっぱいだ 小六 三原咲月
去年よりじょうずになつてスキーする 小五 難波孝太朗
えほうまき今年の向きは南南東 小五 倉田智浩
さとしくんへアシストのパスはるきたる 小二 墨穂乃花
(四月号分記載漏)
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花菖蒲
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