四月号(H30)

未央の俳句

誌友の雑詠    古賀しぐれ選

 

     寒紅や小貝に秘めし京の色       山本ひろ

    

古賀しぐれの評

  

   初句会の句座に飾られた寒紅。小さな貝の容器に入れられていた。昔は寒中に造られた口紅は品質が良いとされ、特に寒の丑の日のものは、丑紅と呼ばれ最も上質とされていた。そして大切に詰められた小貝の紅は昔から伝えられた紅花の紅色。それは千年の都、京に伝わって来た寒紅なのであろうと詠う。句座に飾られた小貝の寒紅を見て、一瞬にこれら前述の寒紅の歴史までに思い至った作者の感性は見事。《寒紅や》の「や」が寒紅の持つ、それらの歴史や特別の紅の奥深さを合わせて伝えているのである。華やかな初句会の句座から小貝の寒紅のみに焦点を当て、美しい調べに込めた寒紅の一句は、その紅色のように奥深い光沢を秘めた一句に仕上った。

 




    浦人の熱き思ひに海苔育つ      長ア佳子

 

 

古賀しぐれの評

  

   須磨の浦の海苔工場を見学した折の句。海苔工場は勿論のこと、海苔ひびのある沖まで船に乗り見学させてもらった。海苔漁は十一月から三月頃までと限られている。その間に沖で海苔を育て、それを刈ってきて、工場で一枚の海苔に仕上げるのである。厳しい寒さでの海苔漁、手間のかかる海苔の工程。それは浦人の海苔に対する熱き思いなしでは成し遂げられない。その浦人の熱き思いに接した感動が一句となって、読む人に訴えて来る。

 

 






  窓辺とは心の寄辺室の花       水上末子

 

古賀しぐれの評 

  今年の冬は殊に寒さが厳しい。元気とはいえ、高齢の作者。冬籠りの日日が続く。が、そこは俳人、雪が降れば雪を見、林の照り翳りの景色に目が向く。それは暖かい窓辺越しの景色。正しく、窓辺は家に籠る作者の心の寄辺なのである。窓辺を見る度に、その窓辺の日向に置かれた室の花が作者を慰めてくれるのであろう。


 

 

 



さくらんぼ(高校生以下の作品)   福本めぐみの評

 

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鏡餅自分でこねて更に良し     高三  北村 壮


 

福本めぐみの評

   餅つきをする家庭は今は多くないと思いますが、作者の家では恒例なのでしょう。例年ならば餅丸めのみを手伝って来たけれど今年は鏡餅を任されたのです。一家の長の跡継ぎとしての自覚も芽生える年頃。どこかに、覚悟と自信が感じられます。


 






 

 
一筆に力をこめて書き初めし      中一  狩屋佑菜

 

福本めぐみの評

  一筆に「力をこめる」ということは、「思いをこめる」ということでしょう。運筆に心をこめて墨の色もあざやかに一年の計を誓った会心の書初めとなったのでしょう。作者の清清しい気持ちが伝わってきます。

 




さざんかのいけがきまっすぐ続いてる     小五  倉田 晄

 

 

福本めぐみの評

  童謡「たきび」を思いうかべます。さざんかのさいた道を子供たちがおしゃべりしながら歩いて行く一本道はなつかしい風景です。


 

 

 

 

さくらんぼの句

  

        さくらんぼの句   福本めぐみの評

 

 

鏡餅自分でこねて更に良し     高三  北村 壮

 餅つきをする家庭は今は多くないと思いますが、作者の家では恒例なのでしょう。例年ならば餅丸めのみを手伝って来たけれど今年は鏡餅を任されたのです。一家の長の跡継ぎとしての自覚も芽生える年頃。どこかに、覚悟と自信が感じられます。

 

お餅好き体力体重オーバーだ     中三  本城由比奈

お正月は餅好きには注意が必要ですね。でも、お正月ですものいいではないですか。今頃きっと、体力使ってもとにもどっていることでしょう。

 

一筆に力をこめて書き初めし      中一  狩屋佑菜

一筆に「力をこめる」ということは、「思いをこめる」ということでしょう。運筆に心をこめて墨の色もあざやかに一年の計を誓った会心の書初めとなったのでしょう。作者の清清しい気持ちが伝わってきます。

 

七種の森が広がる白いかゆ       中一  山村真市

七種の緑を森のようだと感じた作者の感覚は新鮮です。森という深い緑のイメージと、見つけようとしなければ見つからないほどの若草とは結びつきようがありません。けれど、白かゆに描かれた七種の色を思い浮かべると何か幻想的な森が見えてきそうです。

 

ちらちらと雪が舞う中公式戦      小六  山村侑己

公式戦というとプロ野球を思い浮かべますが、この場合は作者が所属しているスポーツの公式戦の始まりなのでしょう。ちらちらと舞う雪が本当に寒そうでこれからの
一試合一試合が大変だなあと思われます。でも、がんばって!と応援したいです。

 

さざんかのいけがきまっすぐ続いてる     小五  倉田 晄

童謡「たきび」を思いうかべます。さざんかのさいた道を子供たちがおしゃべりしながら歩いて行く一本道はなつかしい風景です。

 

初日の出雲にかくれて遠りょがち      小五  山村隼士

元旦、今年こそは拝むぞと期待して待っていた初日ですが雲にかくれてあまりはっきり見えませんでした。遠慮がちといいながら、もっと、姿を見せてほしいという残念な気持ちがよくつたわります。

 

水せんの花はしゃべっているみたい      小四  難波美帆

水せんの花はくちをつきだしてしゃべっているみたいに見えますね。ひとつひとつのはなは、まえを向いていたりよこをむいていたり、さまざまでじゅぎょうちゅうの子どもたちみたいです。

 

七くさの名前をおぼえてまんぞくだ      小四  山村竜暉

食べることより名前をおぼえられたことがうれしかったのですね。大人のように正月の胃のつかれなんてありませんものね。名前をおぼえることから日本のでんとうは受けつがれていくのです。

 

はつもうでおみくじ引いて大きちだ      小三  かりやとうあ

やったあ!とおみくじを引いた作者の声が聞こえてきそうです。春からえんぎがいいですね。ラッキーな一年になりますように。

 

サッカーのれんしゅうやすみ冬の雨       小二  難波孝太朗

あまりにもさむい雨だから、サッカーのれんしゅうがやすみになったのでしょうか。ほかにすることもなくて、つまらない、くらい一日です。

 

けさおきておめでとうというお正月        小二  山中沓子

きょねんとことし。こぞことしというきごがあります。それをとてもかんたんに、ただしくおしえてもらった気がします。おおみそかからひとばんねて、おきたら、としがかわって「おめでとう」なのです。

 

がっこうのいけがこおりでかたまった       小二  くらたともひろ

かんさいでは、いけがこおるなんて、めったにありません。ことしは、こおりましたね。二センチくらいのあつさにこおった日もあったのではありませんか?そんな日は
子どもたちはおおさわぎなのでしょう。がっこうの大ニュースですね。


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                             


 

       

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