古賀しぐれの評
初句会の句座に飾られた寒紅。小さな貝の容器に入れられていた。昔は寒中に造られた口紅は品質が良いとされ、特に寒の丑の日のものは、丑紅と呼ばれ最も上質とされていた。そして大切に詰められた小貝の紅は昔から伝えられた紅花の紅色。それは千年の都、京に伝わって来た寒紅なのであろうと詠う。句座に飾られた小貝の寒紅を見て、一瞬にこれら前述の寒紅の歴史までに思い至った作者の感性は見事。《寒紅や》の「や」が寒紅の持つ、それらの歴史や特別の紅の奥深さを合わせて伝えているのである。華やかな初句会の句座から小貝の寒紅のみに焦点を当て、美しい調べに込めた寒紅の一句は、その紅色のように奥深い光沢を秘めた一句に仕上った。
古賀しぐれの評
須磨の浦の海苔工場を見学した折の句。海苔工場は勿論のこと、海苔ひびのある沖まで船に乗り見学させてもらった。海苔漁は十一月から三月頃までと限られている。その間に沖で海苔を育て、それを刈ってきて、工場で一枚の海苔に仕上げるのである。厳しい寒さでの海苔漁、手間のかかる海苔の工程。それは浦人の海苔に対する熱き思いなしでは成し遂げられない。その浦人の熱き思いに接した感動が一句となって、読む人に訴えて来る。
古賀しぐれの評
今年の冬は殊に寒さが厳しい。元気とはいえ、高齢の作者。冬籠りの日日が続く。が、そこは俳人、雪が降れば雪を見、林の照り翳りの景色に目が向く。それは暖かい窓辺越しの景色。正しく、窓辺は家に籠る作者の心の寄辺なのである。窓辺を見る度に、その窓辺の日向に置かれた室の花が作者を慰めてくれるのであろう。
さくらんぼからのお知らせ
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福本めぐみの評
餅つきをする家庭は今は多くないと思いますが、作者の家では恒例なのでしょう。例年ならば餅丸めのみを手伝って来たけれど今年は鏡餅を任されたのです。一家の長の跡継ぎとしての自覚も芽生える年頃。どこかに、覚悟と自信が感じられます。
福本めぐみの評
一筆に「力をこめる」ということは、「思いをこめる」ということでしょう。運筆に心をこめて墨の色もあざやかに一年の計を誓った会心の書初めとなったのでしょう。作者の清清しい気持ちが伝わってきます。
福本めぐみの評
童謡「たきび」を思いうかべます。さざんかのさいた道を子供たちがおしゃべりしながら歩いて行く一本道はなつかしい風景です。
さくらんぼの句
さくらんぼの句 福本めぐみの評
鏡餅自分でこねて更に良し 高三 北村 壮
お餅好き体力体重オーバーだ 中三 本城由比奈
一筆に力をこめて書き初めし 中一 狩屋佑菜
七種の森が広がる白いかゆ 中一 山村真市
ちらちらと雪が舞う中公式戦 小六 山村侑己
さざんかのいけがきまっすぐ続いてる 小五 倉田 晄
初日の出雲にかくれて遠りょがち 小五 山村隼士
水せんの花はしゃべっているみたい 小四 難波美帆
七くさの名前をおぼえてまんぞくだ 小四 山村竜暉
はつもうでおみくじ引いて大きちだ 小三 かりやとうあ
サッカーのれんしゅうやすみ冬の雨 小二 難波孝太朗
けさおきておめでとうというお正月 小二 山中沓子
がっこうのいけがこおりでかたまった 小二 くらたともひろ
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