六月号(R3)

未央の俳句

誌友の雑詠    古賀しぐれ選

 

    万屋のよろづの中の種袋       早川水鳥

 

    

古賀しぐれの評

  

 「万屋」は種々のものを商う店のこと。いわゆる「何でも屋」のことである。そのこまごまとした商品の中でも、全く嵩のない重さのない種袋を探し出すのは至難の業。埃の被った棚の中からやっと探し出された種袋。店番はお婆さん独り・・、という雰囲気を醸し出している。文章で書くと、斯くの如く書き連ねているが、掲句は至ってシンプル。「万屋のよろづの中の」と十二音の中で「よろづの」文字が大半を占め、そして下五の季題「種袋」に見事に着地しているのである。「万屋」「よろづの」と漢字と仮名で書き分けている苦心もある。調べもなだらかであり、虚子の説く平明にして余韻のある一句と言えるであろう。

 

 




    王陵の谷うぐひすの所領なる      狩屋可子

 

 

古賀しぐれの評

    

 古代の近つ飛鳥一帯は渡来人の高い文化が栄えた地。周辺には六世紀以降の古墳群が広がっている。風土記の丘から一望できる王陵の谷。まるでエジプトの王家の谷を思わせるネーミングであるが、それほどに古墳が群集している土地なのであろう。その王陵の谷はうぐいすの所領であると詠う。さもありなんと思わせるのは王陵の谷の名の故かも知れない。澄み切った空気の中で、鶯の声が響き渡る谷の景色が眼前に浮かび上がってくる。

 

 





    雲に名の水に名のあり西行忌       小井川和子

 

 

 

古賀しぐれの評 

 

 陰暦二月十五日は僧にして歌人である西行の忌日である。歌集「山家集」の《願はくば花の下にて春死なむそのきさらぎの望月の頃》との願いどおりとなった西行忌。その忌日の花の頃には雲にも水にも花の名がついて呼ばれている。旅をする生涯を過ごした西行に相応しい雲の名であり水の名であるという思いに至った作者の発想に共感を覚えた。

 




さくらんぼ(高校生以下の作品)   福本めぐみの評

 

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佐保川の映る桜と散るさくら        高三 本城由比奈

 


 

福本めぐみの評 

 

  佐保川の桜をさらに美しく表現しています。咲いている桜と川面に映る桜、さらに散るさくらを鏤めてこの美しい景色の一瞬ともう二度とめぐり合うことはありません。その感動の一瞬を描きとめることが写生の本分です。佐保川という固有名詞が効いています。また、さくらとひらがなで書く心配りもいいです。

勉強に疲れふと窓春の月 

にも惹かれました。 一句目はこなれていて出来すぎの感があります。
二句目は学生らしい愁いと春の月に励まされている心の動きが季題に託されていて好感を持ちました。

 



 

 

 
受験生終わった後であせりだす        高一 山村真市

 

 

福本めぐみの評

 

 受験を終えて自己採点などするのでしょうか。思っていたほど点が取れていないとか、不安材料が出てきたのかもしれません。合格発表までの期間がなんとも落ち着かない日々です。

 



 


 

 

こぎだそう桜並木を岸に見て          中一 奥村瑛太

 

 

福本めぐみの評

 

 琵琶湖海津大橋の景色でしょうか。桜並木を岸に見てという表現が適格です。あの美しい桜の景色に出会えるという高揚感が伝わります。

 


 

 

 

 

さくらんぼの句

  

        さくらんぼの句   福本めぐみの評

 

 

佐保川の映る桜と散るさくら        高三 本城由比奈

 佐保川の桜をさらに美しく表現しています。咲いている桜と川面に映る桜、さらに散るさくらを鏤めてこの美しい景色の一瞬ともう二度とめぐり合うことはありません。その感動の一瞬を描きとめることが写生の本分です。佐保川という固有名詞が効いています。また、さくらとひらがなで書く心配りもいいです。
勉強に疲れふと窓春の月 にも惹かれました。
 一句目はこなれていて出来すぎの感があります。二句目は学生らしい愁いと春の月に励まされている心の動きが季題に託されていて好感を持ちました。

 

 

受験生終わった後であせりだす        高一 山村真市

受験を終えて自己採点などするのでしょうか。思っていたほど点が取れていないとか、不安材料が出てきたのかもしれません。合格発表までの期間がなんとも落ち着かない日々です。

 

 

仲間との宝を抱いて今卒業          高一 狩屋佑菜

中学三年間に得た仲間との思い出、最終学年をコロナ禍の中で様々な思いを乗り越え、取り組んだ活動の数々、助け合い励まし合った日々、どれもこれも思い出にあふれる宝物に違いありません。今卒業のこの時に全てが凝縮されています。

 

 

こぎだそう桜並木を岸に見て          中一 奥村瑛太

琵琶湖海津大橋の景色でしょうか。桜並木を岸に見てという表現が適格です。あの美しい桜の景色に出会えるという高揚感が伝わります。

 

 

ひび割れた岩のすきまに草の芽が         中一 山村竜暉

春になるとこんなところからも草が芽吹いていると気づきます。その気づきが俳句の目線です。すみれなどは、蟻がその種を岩や、コンクリートの隙間に運ぶようです。

 

 

思い出をいっぱいつめて卒業式           中一 難波美帆

今年の卒業式の参列者は最低限の人数で執り行われることになりました。その代わり、自分たちの手でできる限りの思い出に残る式にしようと取り組まれたのです。素敵な卒業式になりましたね。

 

 

嫌だなあ暑いか寒いかどっちなの           小六 三原咲月

朝夕の寒暖差が大きくて毎朝、着る服に悩みます。なかなか着る服が決まらないのは嫌ですね。そのうち暑い夏が来て、暑くて寒いこの時期が懐かしくなりますよ。

 

 

さくらまいお花見してる家ぞくでね           小六 狩屋堂明

今年のお花見は家族限定というような感じになりましたが、家族の時間を大切にするよい機会になりました。家族で同じ花を見て、花が散ったね、きれいだねと共感する事のしあわせを感じます。

 

 

ゴールポスト後ろにつくしいっぱいだ          小五 難波孝太朗

ゴールポストの後ろに土筆がいっぱいはえている。当たり前の表現のように思えますが、ありありと景色を思い浮かべることができます。枯れ色だったグラウンドに徐々に草が青みその中に土筆がいっぱいという春の喜びで溢れます。

 

 

春休み宿題ないのにドリル買う              小五 倉田智浩

春休みは学年もクラスも担任も変わるので宿題がありません。けれど、作者は宿題のないことが頼りなくてドリルを買いました。ドリルは作者にとってはゲーム感覚なのかもしれません。

 

 

ねこの子がいえからいえへはしり出す           小二 墨 穂乃花
親ねこから巣立った子ねこがはじめてのおつかいみたいにいえからいえへ、はしりました。
かわいいぼうけんのはじまりですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                   蟹        

                             


 

       

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