古賀しぐれの評
「万屋」は種々のものを商う店のこと。いわゆる「何でも屋」のことである。そのこまごまとした商品の中でも、全く嵩のない重さのない種袋を探し出すのは至難の業。埃の被った棚の中からやっと探し出された種袋。店番はお婆さん独り・・、という雰囲気を醸し出している。文章で書くと、斯くの如く書き連ねているが、掲句は至ってシンプル。「万屋のよろづの中の」と十二音の中で「よろづの」文字が大半を占め、そして下五の季題「種袋」に見事に着地しているのである。「万屋」「よろづの」と漢字と仮名で書き分けている苦心もある。調べもなだらかであり、虚子の説く平明にして余韻のある一句と言えるであろう。
古賀しぐれの評
古代の近つ飛鳥一帯は渡来人の高い文化が栄えた地。周辺には六世紀以降の古墳群が広がっている。風土記の丘から一望できる王陵の谷。まるでエジプトの王家の谷を思わせるネーミングであるが、それほどに古墳が群集している土地なのであろう。その王陵の谷はうぐいすの所領であると詠う。さもありなんと思わせるのは王陵の谷の名の故かも知れない。澄み切った空気の中で、鶯の声が響き渡る谷の景色が眼前に浮かび上がってくる。
古賀しぐれの評
陰暦二月十五日は僧にして歌人である西行の忌日である。歌集「山家集」の《願はくば花の下にて春死なむそのきさらぎの望月の頃》との願いどおりとなった西行忌。その忌日の花の頃には雲にも水にも花の名がついて呼ばれている。旅をする生涯を過ごした西行に相応しい雲の名であり水の名であるという思いに至った作者の発想に共感を覚えた。
さくらんぼからのお知らせ
高校生の方もどしどし投稿下さい
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福本めぐみの評
佐保川の桜をさらに美しく表現しています。咲いている桜と川面に映る桜、さらに散るさくらを鏤めてこの美しい景色の一瞬ともう二度とめぐり合うことはありません。その感動の一瞬を描きとめることが写生の本分です。佐保川という固有名詞が効いています。また、さくらとひらがなで書く心配りもいいです。
勉強に疲れふと窓春の月
にも惹かれました。 一句目はこなれていて出来すぎの感があります。
二句目は学生らしい愁いと春の月に励まされている心の動きが季題に託されていて好感を持ちました。
福本めぐみの評
受験を終えて自己採点などするのでしょうか。思っていたほど点が取れていないとか、不安材料が出てきたのかもしれません。合格発表までの期間がなんとも落ち着かない日々です。
福本めぐみの評
琵琶湖海津大橋の景色でしょうか。桜並木を岸に見てという表現が適格です。あの美しい桜の景色に出会えるという高揚感が伝わります。
さくらんぼの句
さくらんぼの句 福本めぐみの評
佐保川の映る桜と散るさくら 高三 本城由比奈
受験生終わった後であせりだす 高一 山村真市
仲間との宝を抱いて今卒業 高一 狩屋佑菜
こぎだそう桜並木を岸に見て 中一 奥村瑛太
ひび割れた岩のすきまに草の芽が 中一 山村竜暉
思い出をいっぱいつめて卒業式 中一 難波美帆
嫌だなあ暑いか寒いかどっちなの 小六 三原咲月
さくらまいお花見してる家ぞくでね 小六 狩屋堂明
ゴールポスト後ろにつくしいっぱいだ 小五 難波孝太朗
春休み宿題ないのにドリル買う 小五 倉田智浩
ねこの子がいえからいえへはしり出す 小二 墨 穂乃花
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蟹
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