十月号(H28)

未央の俳句

誌友の雑詠    古賀しぐれ選

 

      沈黙も追慕の一つ蝉時雨     松田吉上

    

古賀しぐれの評

     住吉大社で行われた虹二先生追悼句会での一句。住吉大社の大いなる境内を包み込むような蝉時雨。その蝉時雨は鎮魂歌とも聴こえて来た。《沈黙も追慕の一つ》この措辞が心に沁み込んでくる。虹二先生が長年通い続けられた住吉句会。虹二先生の思い出が其処此処に残されていた。沈黙が追慕の心を余計に深めている。蝉時雨の季題がその沈黙を尚更に深めているようだ。俳人は俳句を詠むことによって人を追慕する。長々とした思い出の言葉より、たった十七文字の一句の方がずしりと胸に迫ってくる。これが俳人が成仏する所以でないかとも思われる。










    思ひ出を繙く神の館涼し      北川栄子

 

古賀しぐれの評

    掲句も追悼句会での作。住吉大社の御計らいで立派な吉祥殿というお部屋をお借りする事が出来た。祭壇が設えられ、美しい花と虹二先生のご遺影、色紙短冊などが沢山飾られていた。懐かしい笑顔、親しみのある文字の句短冊。忽ちに虹二先生の思い出が溢れ出してくるようであった。その思いを端的に十七文字にまとめ上げた。《神の館涼し》がいかにもその清らかなる思い出を語っているようである。






   蓮に立ち追慕のこころ一入に      斉藤千代美

 

古賀しぐれの評

   この句は河内長野の花の文化園での作。虹二先生のお膝元でもある河内長野。作者は最晩年まで師をよくお世話され、最後までご一緒に俳句を楽しまれていた。美しい白蓮の咲いている光景を目の当りにして、師との思い出が甦って来たのであろう。白蓮と師の凛とした佇まいを重ね合わせ、追慕の心が一入に募って来たのだ。今頃は御浄土の蓮の台で俳諧を楽しんでおられることであろう。




さくらんぼ(高校生以下の作品)   福本めぐみの評

 

  さくらんぼからのお知らせ 
 高校生の方もどしどし投稿下さい
 未央誌のさくらんぼの用紙ご使用下さい
 

 

 

花火咲き火花散りゆき笑顔咲く     高一  北村  壮

 



 

福本めぐみの評

   夜空に打ちあがった花火が大きく広がっては散る。その都度、歓声があがり闇が照らされ笑顔が浮かびあがる。その一瞬、一瞬をゆっくりと映像的に見せてくれる句です。ていねいに言葉をつなぐことで描ききることができました。一発の花火に何万何十万もの笑顔が咲いたことでしょう。







 

 
みどりありきみどりもあり夏の山     小五 磯本佳奈

福本めぐみの評

    
    緑といってもひとつの色でないことを知った作者です。山によってはえている木や植えてある木がちがうのです。そんな事も考えて山を見るようになったらいい ですね。



 




かきごおりはやくたべたいあついとき       小一 かりやとうあ

 

福本めぐみの評

  あつくてあつくてたまらないひは、かきごおりがいちばんおいしいですね。できあがるのがまちきれません。


 

 

さくらんぼの句

  

        さくらんぼの句   福本めぐみの評

 

 

花火咲き火花散りゆき笑顔咲く    高一 北村 壮

夜空に打ちあがった花火が大きく広がっては散る。その都度、歓声があがり闇が照らされ笑顔が浮かびあがる。その一瞬、一瞬をゆっくりと映像的に見せてくれる句です。ていねいに言葉をつなぐことで描ききることができました。一発の花火に何万何十万もの笑顔が咲いたことでしょう。

 


夕立の風の匂いに空見上げ      中三 笠間優里

風の匂いの中に、まだ降っていない、どこかで降っているかも知れない夕立を感じて、空を見上げる。その一瞬の感性が一句になります。

 


大花火消えゆき残る月の白       中一 本城由比奈

すべての花火の打ち上げが終わって、花火見の人が帰ってゆく。余韻の残る空を見上げると、いつのまにか月が上がっている。先ほどまでの花火と比べるとあまりにも静かでいつもよりさらに白く輝いて少しさみしい感じがします。

 


冷蔵庫開けて飲み物探してる       中一 岸 空大

こんなに暑いと誰もがそうするでしょう。飲み物を探していると言いつつ「ああ、涼しい」と冷蔵庫の冷気を浴びていたりするのです。何か飲もう!と冷蔵庫を探るのも楽しみです。おかあさんは。「早く締めなさい!」て言うけどね。

 


みどりありきみどりもあり夏の山     小五 磯本佳奈

緑といってもひとつの色でないことを知った作者です。山によってはえている木や植えてある木がちがうのです。そんな事も考えて山を見るようになったらいい ですね。

 


ひらひらとひれをなびかす金魚たち     小五 狩屋佑菜


夜店ですくってきたようなものではなくて、きれいなおひれを持った鑑賞ようの金魚です。ゆったりと水そうのなかをゆきかう金魚のひれが優雅です。ひらひらと「なびかす」と言ったところが素敵です。向きを変える度にひらひら?ひらひら?時間

 


水そうのすみに金魚の目のぎょろり      小五 山村真市

水そうのすみということで、魚眼レンズで見るような感じがして、ぎょろりとした金魚の目がいっそうクローズアップされました。「ぎょろり」と言い止めたことが効果的でした。

 


夏休みでもその前にあゆみくる      小四 山村侑己

「あゆみ」は通知簿のこと。中学年の作者はそろそろ成績のことが気になるのです。夏休みは待ちどおしいけれど、勉強のことも気になる。素直な気持ちが出ています。

 


なつまつりゆかたきがえてたのしもう     小三 倉田 晄

おまつりにゆかたをきる楽しみが加わってもっとたのしい。さっき、わかれたともだちといっしょにおまつりに行くやくそくをして、さっと汗をながしてゆかたにきがえて・・・。その手伝いをするおかあさんは、汗だくですけど、やっぱり楽しいのです。

 


かぶとむしじゅえきをすってひとやすみ      小三 三原勇真

絵本の一ぺーじのようです。朝、桃の木などで見たことがあります。なんびきものかぶとむしがほんとうにジュースをのむみたいにじゅえきをすっているのを。レストランでひとやすみしているみたいでした。

 


青いはねせみのたん生きれいだな      小三 山村隼士

生まれたてのせみを見つけました。すこしずつ、すこしずつ、はねにいろが出てきます。それが、青かったのですね。なんて、きれいなんだろうって感動しました。そして、どんないろにへんしんしていくのでしょう。いいところを見ました。

 


わたあめがとけちゃいそうななつまつり     小三 古賀こはる

おまつりというだけでわくわくします。わたあめをかってあるきながらたべているのかな?わたあめのはしからとけてしまいそう。ふわふわのわたあめが小さくなっちゃう!それもたのしいなつまつりです。

 


ろっこうさんにゅうどうぐもがのっている     小二 難波美帆

いつも見ているろっこうさんに、さらにおおきなにゅうどうぐもがどーんとのしかかっているようです。「のっている」がいいです。おおきなけしきです。

 


こうえんでせみのおはかを作ったよ        小二 山村竜暉

おちているせみをみつけたのでしょう。おはかを作ってあげました。こうえんのすみの土のやわらかいところをほって、やさしくせみをうめました。せみは、土にかえっていくでしょう。

 


かきごおりはやくたべたいあついとき       小一 かりやとうあ


あつくてあつくてたまらないひは、かきごおりがいちばんおいしいですね。できあがるのがまちきれません。

 


あかきいろくるくるまわるはなびした      小一 古賀こむぎ


なつのよる、みんなでするはなびはたのしみです。じぶんでするには、ちょっと、こわいくるくるまわるはなびです。あかやきいろにいろがかわってとってもきれいです。

 


なんかいもさわってみたいおじぎそう        年長 難波孝太朗

なんどさわっても、ちゃんとおじぎするおじぎそう。おきあがるのをまって、また、さわって「こんにちは。」おじぎそうも、つかれるんじゃないかな?でも、やっぱり、さわりたい。わかります。

 

 

ぼんおどりかわちおんどをおどったよ     年長 くらたともひろ

おとなにまじっておどったのかな。ぼんおどりが、こどもたちにもうけつがれていくといいなあとおもいます。らいねんも、また、おどってね。

 

 

かきごおりたべてひんやりおいしいな       年長  山中沓子

あついひは、つめたいものをたべるのがいちばん。からだのなかからひんやり、おいし?。ひとくちずつ、つめたくて、あまくて、おいしいですね。

 

 

みずあそびずぼんぬれてもたのしいな        年中  岸しゅうた

あ、ずぼんがぬれた。ま、いいか。あ、シャツもぬれた。と、さいしょは、きにしていたけれど、だんだん、だいたんになってきて、みずあそびにむちゅうになりました。はじける、えがおがみえるようです。

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                             

 

 

 


 

       

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