十一月号(H28)

未央の俳句

誌友の雑詠    古賀しぐれ選

 

      辞世の句口遊びつつ墓洗ふ     森本恭生

 

      墓洗ふ黄泉の句座にて逢ひませう     同

    

古賀しぐれの評

   作者の俳句の親友であった方を追悼されている句が並ぶ。どの句からも、心を許し合い、句を楽しまれたであろう親友と作者との関係が浮かび上がってくる。辞世の句を遺して旅立った彼。何度も何度も読んでいる内に、口遊むまでに覚えてしまわれた辞世の句。その辞世の句を口遊みながらの墓参。俳人にとっては何よりの墓参りではないかと思われる。そして何れはあの世での句座でご一緒しましょうと語りかける作者。俳人の交遊は花鳥風月を通しての互いの交遊であると説く、虚子の言葉を地で行くような句の数々。読み手にもぐっと心に訴えて来るものがある。










    悟りたるものより開き蓮の花     松田吉上

 

古賀しぐれの評

    蓮はインドの原産。古く大陸から渡来した。仏教との関わりが強く、寺院の池などに群生することが多い。仏さまが蓮の台に載るお姿は洵に荘厳である。蓮の蕾も合掌の姿によく喩えられる。そういう蓮の花の姿から受けるインスピレーションから湧き上がってきた感慨が、掲句の根底にあるのかも知れない。《悟りたるものより開き》の措辞が発想の豊かさを感じさせる。悟りをひらくように美しく開き切った白蓮の見事な姿が浮かび上がってくる。






   ひと粒を足して白露こぼれけり      福本恵夢

 

古賀しぐれの評

    スローモーション画像を見ているような一句。蓮の葉とかよく弾く葉っぱに一粒の露が宿っている。するともう一粒、どこからかその葉っぱに落ちて来た露がその元の露と合体してこぼれ落ちた。露がこぼれるという一瞬の刻をじっくりとスローモーション化して表現、魅力的な句に仕上がった。《白露》の《白》がそれを余計に際立たせている。




さくらんぼ(高校生以下の作品)   福本めぐみの評

 

駅長タマ二世

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もう少し線香花火消えないで     小五 西村 樹

 



 

福本めぐみの評

   家族や友達と楽しむ線香花火の夜は楽しいものです。でも、終わりの時は来ます。「この、花火が終わったらおしまいね」と、お母さんにうながされて最後の花火に火をつけたのかもしれません。「消えないで」と花火の夜をおしむ気持ちが伝わります。


 






 

 
さるすべりどうしてそんな名前なの     小三 倉田 晄

 

福本めぐみの評

    
   ひらひらのフリルがとてもかわいい花なのに、「さるすべり」どうしてこんななまえがついたのかなあとすなおに、ふしぎにおもっているのです。
 さるすべりの木のみきをさわってみてください。つるつるしているでしょう。さるでも、この木にのぼろうとしたら「すべって落ちてしまうかもしれないよ」とむかしの人は考えて、そうよぶようになったそうです。もっとも、花も実もあまりおいしくないから、さるも、のぼろうとしなかったようですけれど。



 




あまのがわみられなくってざんねんだ      年長 山中沓子

 

福本めぐみの評

   たなばたにでてくるあまのがわを、はちがつにみることができます。そんな、おはなしをきいて、でかけたのかもしれません。このひはくもりぞら、うすいくもにじゃまをされてみることができませんでした。ほんとうに、ざんねんです。でもまた、チャンスはあります。


 

 

 

 

さくらんぼの句

  

        さくらんぼの句   福本めぐみの評

 

 

加賀の夜湖面にうつる大花火     中三 笠間優里

 湖面というのは河北潟のことでしょうか。地元では自然の残る湖として親しまれているようです。日本海を背景に打ち上げられた花火が広々とした湖面を染め上げています。加賀の夜と言う事で上品な色取りを想像しました。

 


下校時はすっかり稲の刈られてる     中一 岸 空大

登校の朝見た景色とはすっかり変わっている稲田のようす。驚きが素直にことばに乗せられていて、共感します。毎日、見ている田んぼですが、四季おりおり様々な姿を見ることができます。そこには、一日も休まない米作りの営みがあります。日本は米の国です。

 


せみ近いあっ電柱で鳴いている     中一 本城由比奈

話し言葉がそのままはいくになりました。やけにせみの声が近いと思ったら、「あっ」驚いたことに目の前の電柱に止まっていました。むき出しの電柱に止まったせみ、こんなところで。せみはかげもなくて、やけに「暑い」って思わなかったのかな。

 


もう少し線香花火消えないで     小五 西村 樹

家族や友達と楽しむ線香花火の夜は楽しいものです。でも、終わりの時は来ます。「この、花火が終わったらおしまいね」と、お母さんにうながされて最後の花火に火をつけたのかもしれません。「消えないで」と花火の夜をおしむ気持ちが伝わります。

 


氷入れキンキン冷えた麦茶飲む     小五 狩屋佑菜

ただ冷蔵庫で冷えただけの麦茶ではだめなのです。冷凍庫から氷をわしづかみにしてグラスの上までいっぱいに入れて、麦茶を、ぷはー!と飲みほすのです。めっちゃ暑い日にはこれが一番。大人はキンキンに冷えた麦酒だけどね。 

 


食べ終えたすいかぬかづけ二度うまい     小五 山村真市

食べ終えたすいかの皮をぬかづけにして食べるとおいしいということは聞いたことがありますが、じっさいに作ったことはなく、その、おいしさを私は知りません。それを知っている作者はすごいです。そして、作ってくださるお家の方はすてきだなと思います。

 


あさがおと私の身長せいくらべ      小四 西川真采

あさがおは毎日、つるをのばします。わあ、ずいぶんのびた、とせいくらべしてみます。あしたは、もっとのびているでしょう。そして、沢山の花をさかせてくれるでしょう。

 


弟と遊んではけんかの夏休み      小四 山村侑己

仲が良いほどけんかするのでしょう。くっついてはけんかして、また、くっついて。「暑いのに、いい加減にしなさい!」なんてお母さんに叱られて。それでも、やっぱり兄弟はいいものです。

 


夏の海青色続くどこまでも      小三 山村隼士

海のまぶしい青が海の広さのかぎり続いています。にごりも、かげりもなく、ずーっとどこまでもつづく青に、あっとうされている作者です。

 


さるすべりどうしてそんな名前なの     小三 倉田 晄

ひらひらのフリルがとてもかわいい花なのに、「さるすべり」どうしてこんななまえがついたのかなあとすなおに、ふしぎにおもっているのです。
さるすべりの木のみきをさわってみてください。つるつるしているでしょう。さるでも、この木にのぼろうとしたら「すべって落ちてしまうかもしれないよ」とむかしの人は考えて、そうよぶようになったそうです。もっとも、花も実もあまりおいしくないから、さるも、のぼろうとしなかったようですけれど

 

 

すいかわりめかくししたら見えないよ     小三 三原勇真

目かくししたら見えないのはあたり前なのですけれど、すいかわりの目かくしだから、楽しくてふあんな気持ちが伝わります。だって、変な方に歩いていったら、はずかしいし、まわりの人はやんや、やんやとはやし立てるし。三回まわされたら、もう、どっちがどっちかわからなくなります。で、すいかわりはどうなったのかな? 

 


あんどんにぼくの絵みつけたじぞうぼん      小二 山村竜暉

むかしながらの、じぞうぼんがとりおこなわれているのでしょう。じぜんにくばられたあんどんに絵をかきました。ぼくのはどこにあるのかなあとさがしながら歩いていると、見つけました。明るくともされて、うかびあがっているぼくの絵とのさいかいです。夜にうかびあがってとくべつにすてきな絵に見えたでしょう。

 


なん回もプールに行った夏休み        小二 難波美帆


もう、今年の夏はあつくてあつくて、家になんかいられません。プールに入っているときが一番気持ちよかったです。数えられないくらい、プールにいった夏休みです。

 


ひらおよぎおよいでみたらむずかしい      小一 狩屋堂明

ひらおよぎは、見ているとゆったりとすごくかんたんそうに見えますね。でも、やってみるとむずかしかったのです。ほんとうは、むずかしいことってたくさんありますね。

 


あのとまとにわにいっぱいなっている      小一 西川嘉人

あのとまとって?なつのはじめにうえたとまとなのでしょうか。ちょっとみないうちにいっぱいみをつけていました。「へー!いつのまに」とおどろいたりよろこんだり。

 


ぼくのうちいっぱいいるよかぶとむし      年長 難波孝太朗

すごいなあ!かぶとむしをたくさんかっているのですね?おともだちにも、じまんしたいくらいです。たまごをうんだら、また、ふえますね。

 


あまのがわみられなくってざんねんだ      年長 山中沓子

たなばたにでてくるあまのがわを、はちがつにみることができます。そんな、おはなしをきいて、でかけたのかもしれません。このひはくもりぞら、うすいくもにじゃまをされてみることができませんでした。ほんとうに、ざんねんです。でもまた、チャンスはあります。

 


かまきりはかまだしばったつかまえる      年長くらたともひろ

かまきりがかまをだしてかまえると、こわいくらいです。そして、めにもとまらぬはやさでばったをつかまえます。そして、ばりばり、かんでたべるなんて!

 


とんぼうがそらいっぱいにとんでいる       年中 岸 空大

とんぼうはどうして、あるひ、とつぜんあらわれるのでしょう。「あとんぼう」ときがつくとどんどんふえてきて、あっというまにそらいっぱいにまっています。そして、いつのまにか、どこかへいってしまうのです。

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                             

 

 

 


 

       

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