七月号(H28)

未央の俳句

誌友の雑詠    古賀しぐれ選

 

     言の葉を選べる看とり明易し    多田羅初美

      明易や我が分身の子を看とる    同  

古賀しぐれの評

    作者の最愛の娘さんがご病気をされた。「手術中は死ぬほど心配しました」と後から伺った。自身の病気であれ、家族の病気であれ、そればかり思い過ぎると奈落へ落ち込む。作者は手術前に娘さん同伴で虚子忌にも参列されたと聞く。俳句が何よりも妙薬なのであろう。落ち込ませてはいけないと、掛ける言葉にも気を使い、分身である娘さんの看取りをされた。母であれば身代りになりたいとも思われたであろう。何よりも俳句に心酔している作者なればこその俳句の力。句を詠むことで心を解放されていると思える。









   ゴンドラに鳥の目線の桜狩      早川水鳥

 

古賀しぐれの評

   神戸ハーブ園へ上がるロープウェー。いつもは夏の時期に訪れることが多かったが、今回初めて桜の季節に吟行した。桜狩というと、下から見上げて山道を登ってゆくことが殆ど。ゴンドラに乗り鳥瞰からの花見。緑の山に浮くところどころの花明り。それは見事な景色であった。《鳥の目線》という鳥になり切った作者の浮かれ心が窺い知れる。体験しなければ詠えない、正しく花鳥諷詠の句である。










    囀の乗り込んでくるロープウェー     小井川和子

 

古賀しぐれの評

    この句もハーブ園のロープウェー。美しく晴れ上がり、神戸港を一望の絶景。その景色を祝福するように囀が聞こえてくる。全面ガラス張りのロープウェーは、まるで山の空に浮かんでいるよう。《囀の乗り込んでくる》の措辞がピタリとくる。囀が聞こえるでは普通。このくらいの思い切った表現をすることで、新鮮な素敵な句となった。



さくらんぼ(高校生以下の作品)   福本めぐみの評

 

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 高校生の方もどしどし投稿下さい
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 更衣やっと着られるお気に入り  中一  本城由比奈

 



 

福本めぐみの評

   お気に入りを着てどこへでかけようか。何をしようか。心も身体も軽やかになる感じが「やっと」にこめられているように思います。若々しくて、女の子らしくてとてもいいです。更衣の楽しみですね。






 

 
竹の子はうぶ毛みたいな毛がはえる  小五  山村真市

福本めぐみの評

    
   本当にそうなのです。人のうぶ毛のような(でも、少しかたい)、獣のうぶ毛のような、触るとふわふわとやわらかくて、なでると気持ちいいのです。はえるというより、すでにはえている状態なのでしょうが、実際を見た作者の感動が伝わります。実感が大切です。




 




いつのまにとりのすできたにわの木に  小二  難波美帆

 

福本めぐみの評

    まいにち、見ているはずのにわの木に、気づかないうちに、すができていておどろきました。いつのまに!さあ、いったい、どんなとりが、すをかけたのでしょう。そして、たまごをうんで、子そだてをするのでしょうか。小さなおかあさんになった気持ちで見まもってあげてくださいね。



 

 

さくらんぼの句

  

        さくらんぼの句   福本めぐみの評

 

 

入学式先輩らしく道案内  中三  笠間優里

 先輩であり、最上級生でもあります。その自覚と自信があふれ出ています。学校の中を案内しながら新入生にやさしく堂々と接しているのでしょう。新入生はまぶしく先輩を見つめたことでしょう。

 


中学になり葉桜の頃となる  中一  岸 空大

入学した時は、毎日毎日が初めての連続。「花は葉に」なるように一日、一日積み重ねて来た「初めて」にも今はなれて中学生活にもゆとりができました。気がつけばすっかり葉桜の頃になっています。心地よく吹き渡る風や日差しに自身の落ち着きを感じているのでしょう。

 


更衣やっと着られるお気に入り  中一  本城由比奈

お気に入りを着てどこへでかけようか。何をしようか。心も身体も軽やかになる感じが「やっと」にこめられているように思います。若々しくて、女の子らしくてとてもいいです。更衣の楽しみですね。

 


そわそわと春風がふきゆれる草  小五  狩屋佑菜

春風が草に「はやく大きくなりなさいよ」と働きかけているようです。季節を早く進めたくてそわそわしているのです。草もそれに答えてゆれています。「春よ来い早く来い」の気分です。

 


竹の子はうぶ毛みたいな毛がはえる  小五  山村真市

本当にそうなのです。人のうぶ毛のような(でも、少しかたい)、獣のうぶ毛のような、触るとふわふわとやわらかくて、なでると気持ちいいのです。はえるというより、すでにはえている状態なのでしょうが、実際を見た作者の感動が伝わります。実感が大切です。

 


気持ちよくさくらが風にのっている  小四  西川真采

風に散るはなびらが、いつまでも空中を飛んでいるようすです。風にさからわず、ひらひらと、ひらひらと、次から次へと舞い散る様子はほんとうに気持ちよさそうで、見ている方も楽しく気持ちよくなります。

 


満開の桜見ながら走るバス  小四  山村侑己

どんな道を走っているバスなのでしょう。山の中の道なのでしょうか、桜並木の土手の道なのでしょうか。どこにしても、満開の桜をとても近くに見ているのです。バスだからこそ目線が桜に近く、見上げる桜ではなく、見下ろす桜でもない。すぐ、そこに咲く桜なのです。そんな桜がずっと続いているなんて、なんてすてきなのでしょう。

 


おとめつばきピンク色してかわいいな  小三  倉田 晄

おとめつばきほど、なまえにぴったりな花もないなって思います。その色は本当にかわいらしいピンク色。なんまいあるのか数えられないくらいのたくさんのはなびらが、きっちりかさなりあっていて、コサージュにしたいくらいです。

 


しょうわの日今日も野球がんばった  小三  山村 隼士

しょうわの日にふさわしいスポーツは野球、もし、へいせいの日があったら、サッカーかな、なんて思います。学校がお休みのしょうわの日の「今日も」野球を頑張ったのです。野球少年はかっこいいと思います。

 


いつのまにとりのすできたにわの木に  小二  難波美帆

まいにち、見ているはずのにわの木に、気づかないうちに、すができていておどろきました。いつのまに!さあ、いったい、どんなとりが、すをかけたのでしょう。そして、たまごをうんで、子そだてをするのでしょうか。小さなおかあさんになった気持ちで見まもってあげてくださいね。

 


竹の子をほるスコップの力いれ  小二  山村竜暉

「あ、竹の子」はっけんした竹の子をほることにしました。本当の竹の子をほるためには「ほり」とよばれる大きな、くわがいるのですが・・・。スコップでほるにはずいぶん力がいったでしょうね。がんばりました。

 


なわとびがじょうずになるよさくらさく  年長  難波孝太朗

さくらがさいて、ねんちょうさんになったから、たくさんれんしゅうして、なわとびじょうずになるからね!とけついしているのかな。いっぱいれんしゅうして、なわとびめいじんになってください。

 


さくらみてはるのおもいでできました  年長  山中沓子

とてもたのしいおはなみだったのでしょう。どんな、さくらだったのか、だれとみたのか、なにもわかりませんが「はるのおもいで」ができたということで、いつまでも、この日のことをおぼえていよう、たのしかった、うれしかったというきもちがとてもよくわかりました。

 


さくらのききれいなはなにつつまれた  年長  くらたともひろ

はなのさくまえのきも、はながだんだんさいていくようすもずっとみまもってきたともひろくんです。すっかりさいたさくらのようすを「はなにつつまれた」といいました。やさしくおだやかでいいきもちになるいいかたです。

 


しゃぼんだまぼくのずぼんがぬれている  年中  岸 しゅう大

むちゅうでしゃぼんだまをしていたのでしょう。つよく、ふいて、たくさんだしたり、ゆっくり、ふいて、おおきなしゃぼんだまをつくったり。かぜにのってそらへあがっていくものや、よこへすーっとながれていくもの。いつのまにか、ずぼんがぬれていました。しゃぼんだまが、ずぼんにくっついてわれたのかもしれません。そんな、ようすをおもいうかべました。


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                               赤目の滝

 

 

 


 

       

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