九月号(H28)

未央の俳句

誌友の雑詠    古賀しぐれ選

 

      鹿の子の眼には全てが美しく   池田幸惠

    

古賀しぐれの評

  奈良公園の鹿苑では六月から七月にかけてが鹿のベビーラッシュ。最近では鹿苑の奥まで入れるようになり、金網越しに生まれたての鹿の子を観察することが出来る。鹿の子の三句ともによく観察が出来ている。作者は鹿の子に成り代わって生まれて来た世界を見ているよう。殊にこの掲句は素晴しい。新緑から万緑となる奈良公園の美しい自然。その神の杜に守られて誕生した鹿の子。つぶらな瞳は穢れを知らない。その瞳をみて思わず出来た句ではないだろうか。鹿の子の可憐な姿を瞳に集中させて詠った。森羅万象が鹿の子の誕生を祝福しているようである。









    ハルカスに雲のつまづく五月晴    森川千鶴

 

古賀しぐれの評

    五月晴は梅雨晴間のこと。昨日まで重く垂れこめていた梅天。ハルカスも梅雨雲にかき消されていたのであろう。そして一転の五月晴。天を衝くかのハルカスは青空にくっきりと浮かんでいる。が、そこは梅雨のこと。しばらくすると梅雨雲が過ってゆく。それを《ハルカスに雲のつまづく》と表現。ハルカスの高さと梅雨雲の低さ、重さがこの措辞からぴたりと来る。炎天でも秋天でもない、梅雨晴間、いわゆる五月晴の季題が動かない。簡潔な詠い方がいかにも摩天楼ハルカスの姿を描き出している。










   ロープウェー万緑もまた燃ゆるもの    松田吉上

 

古賀しぐれの評

   ロープウェーと万緑。かなり常套的な素材である。その常套句から逸脱させたのは、《万緑もまた燃ゆるもの》という措辞。万緑が燃ゆるとは普通言わない。しかし、ロープウェーの空から一山の万緑を見下ろすと、なるほど万緑の勢いに圧倒される。万緑と言っても一色ではない。赤く、黄色く青くさまざまな色に燃え上がる樹林。正に燃え上がる万緑なのである。固定概念を覆した一句である。




さくらんぼ(高校生以下の作品)   福本めぐみの評

 

  さくらんぼからのお知らせ 
 高校生の方もどしどし投稿下さい
 未央誌のさくらんぼの用紙ご使用下さい
 

 

 教室が明るくなつた更衣  中三 笠間優里

 



 

福本めぐみの評

   中学校の更衣は一斉におこなわれます。紺や黒地のものから白に一変します。明るい日差しが一層明るくなり、会話もまた弾みます。そんな教室の変化を逃さず感じ取って客観的に見る作者の心もまた明るく軽くなっているのです。







 

 
部活終え青田の風の気持よく  中一 岸 空大

福本めぐみの評

    
    植田だった田んぼが今は青田になって、吹き渡る風が部活を終えた汗の身体に気持ちよく感じます。その、心地よさは、学校生活になれ部活動を頑張る充実感に満ちています。



 




はじめてのがっこうプールあめざーざー  小一古賀こむぎ

 

福本めぐみの評

   しょうがっこうにいったらプールもあるよとたのしみにしていたのに、まちにまったプールの日は、あさから、あめ。それも、どしゃぶりです。がっかりです。


 

 

さくらんぼの句

  

        さくらんぼの句   福本めぐみの評

 

 

教室が明るくなつた更衣 中三 笠間優里

中学校の更衣は一斉におこなわれます。紺や黒地のものから白に一変します。明るい日差しが一層明るくなり、会話もまた弾みます。そんな教室の変化を逃さず感じ取って客観的に見る作者の心もまた明るく軽くなっているのです。

 


部活終え青田の風の気持よく 中一 岸 空大

植田だった田んぼが今は青田になって、吹き渡る風が部活を終えた汗の身体に気持ちよく感じます。その、心地よさは、学校生活になれ部活動を頑張る充実感に満ちています。

 


雨ごとに紫陽花だんだん色増やし 中一 本城由比奈

雨が降るたびに紫陽花が咲き増えていくことと、色が変化していく様子に気づきました。ひとつとして同じ色がない紫陽花の美しさに、雨もまた楽しいものになります。

 


みずうみの風いっぱいに古簾 小五 小多凱士

簾がいっぱいにふくらんでみずうみからの風が部屋の中に入ってくる。その様子を想像するだけで気持ちよくなります。みずうみのきらめきと古簾の動き、部屋の暗さのコントラストが絵のようです。

 


学校のプールの底でとんぼ生まれる 小五 山村真市

校庭にある日突然、とんぼが群れ飛ぶことがあります。このとんぼたちは、いったい、どこから来るのかなと思っていました。プールで生まれていたのですね。では、いつ卵を産みつけたのでしょう。ひとつの気づきから、また新しい発見ができそうです。

 


あまがえる自転車に乗りひと休み 小五 狩屋佑菜

作者の自転車にあまがえるがいました。サドルに乗っていたのか、ハンドルに乗っていたのか、作者に見られても動かないあまがえるはちょっと、休けいしているような感じです。あまがえるに親しみを感じます。

 


ありさんが手の上歩くこそばいな 小四 山村侑己

なにか、こそばゆいなと思ったら、ありが手の上を歩いています。小さなありだったのでしょう。「ありさん」ですから、しばらく歩かせておいても平気です。

 


あつい日にプール入ればいい気持ち 小三 倉田 晄

あつい日もプールのある日は楽しみです。あつければ、あついほど、うれしいプール。飛び込んだらあつさもふきとびます。ずっと入っていたいですね。

 


かきごおりたべるとあたまきんとする 小三 三原勇真

つめたいかきごおりを口にいれると、こめかみのあたりがきんとして、おもわずかおをしかめてしまいます。これがにがてで、冷たいものは食べないなんていう人もいるくらいです。でも、おいしいですね。

 


たまねぎは目にしみそうでなきそうだ 小三 山村隼士

たまねぎを切らなくてはならないのです。キャンプの夕ごはんのじゅんびかな。たまねぎって思うだけで、泣けてきそうになるのです。においも鼻につんときてせめてくるかんじです。

 


きゅうしょくにアイスクリーム七月七日 小三 古賀こはる

きゅうしょくにアイスクリームがでたのですね!はじめて、ききました。七月七日というとたなばた。とくべつなきゅうしょくだったのですね。でも、それが、アイスクリームだったなんて!びっくりです。
二十五ひきというと、かなり多いです。

 


ともだちがやご二十五ひきつかまえた 小二 山村竜暉

そんなにたくさんのやご、どこにいたのかな?やっぱり、プールのそこ?そのやごを、きょうみいっぱいでみつめているみんなのかおを思いうかべます。

 


あせかいてすいとうすっかりからっぽに 小二 難波美帆

あつい日もうごくことがだいすきな、子どもたち。あっというまにすいとうのお茶はからっぽになってしまいます。重いけど、二つすいとうをもっていくという話もききます。あせをかいたぶんだけおちゃはおいしいです。

 


はじめてのがっこうプールあめざーざー 小一 古賀こむぎ

しょうがっこうにいったらプールもあるよとたのしみにしていたのに、まちにまったプールの日は、あさから、あめ。それも、どしゃぶりです。がっかりです。

 


せんせいとはなびをしたよキャンプして 年長 難波孝太朗

おとまりほいくだったのかもしれません。はじめてのおとまり、すこしこころぼそくなってきたよるも、だいすきな、せんせいといっしょにするはなびはたいせつなおもいでですね。

 


かまきりのあかちゃんいっぱいでてきたよ 年長 くらたともひろ

かまきりのたまごをみつけてよくみると、つぎからつぎへとうまれでてくるところ。すごーい!みんなのめにみまもられて、かまきりのたんじょうです。

 


こばんそうふっていいおとしていたよ 年中 岸しゅうた

こばんそうだと、おしえてもらいました。こばんってなに?むかしのおかねなんだって。ふってみたらいいおとがしました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                             

 

 

 


 

       

Copyright(c)2016biohAllRightsReserved.