一月号(H29)

未央の俳句

誌友の雑詠    古賀しぐれ選

 

      秋風や堂は礎石を残すのみ     狩屋可子

    

古賀しぐれの評

  東大寺裏の大講堂跡の礎石。大いなる礎石が三十ばかり遺されている。その礎石跡を見ただけでも随分と立派な大講堂であったであろうことは想像出来る。掲句は《堂は礎石を残すのみ》と、淡々とした事実を詠う。その礎石がどんな風であったとか、史実がどうであったということは一切述べていない。「秋風や」という季題に作者の心情が汲み取れるのみ。至って平明な句風ではあるが、その中から、諸行無常の歳月が伝わってくる。形あるものは何れは崩れてしまうもの。礎石跡には秋風が吹き渡っているのみ。虚子の説く窮極の客観写生句であると思われる。上品な水彩画のように、さらりと読み手に訴えて来る。







    七五三神話の里に生を受け     早川水鳥

 

古賀しぐれの評

  記紀の国生み神話では淡路島が最初に生まれたとある。その淡路島でも最も古いとされる神社を探秋会で訪れた折、偶々少し早目の七五三詣に遭遇した。作者の頭にはもちろん記紀の国生み伝説の記憶があったであろう。この神話の里に営々と生を受けついで、ここに七五三の祝いをされている子供が居る。その感動が一句にまとまった。その土地に出向いての吟行では、思わぬ出会いが、句心を触発してくれるという幸運が待っていてくれる時がある。俳人にとってはそれが亦、たまらなく嬉しい瞬間なのである。

 






   船長も角切る勢子に加勢せり     徳永玄子

 

古賀しぐれの評

   鹿の角切と言うと、奈良の春日大社の神鹿の角切行事を思い浮かべるが、作者は松山の方。一連の角切の句は島での行事であろうか。島渡しの船長が角切の勢子に交って鹿の角を切る。いかにも素朴な島の角切行事が連想される。四句ともに実際見なければ出来ない句ばかり。臨場感をもって角切の行事を鑑賞させる力作揃いである。




さくらんぼ(高校生以下の作品)   福本めぐみの評

 

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ハワイへと飛び立つ空にいわし雲       中三 笠間優里

 



 

福本めぐみの評

   これから飛行機に乗り込んでハワイへ行くのだなあという喜びにたかぶる思いが大空に広がるいわし雲の向うへいざなわれていくようです。


 






 

 
とんぼさんあきはどうなのききたいな       小一 三原咲月

 

福本めぐみの評

    
  ことしはなつからきゅうにさむくなったりしました。いったい、あきはどこへいってしまったのでしょう。そんなふうにかんじているひとはたくさんいたのではないでしょうか。さくしゃはそんな、ぎもんをとんぼにきいみたいなとおもっています。


 




なわとびを百かいとべたうんどうかい       年長 難波孝太朗

 

福本めぐみの評

   うんどうかいをもくひょうになわとびのれんしゅうをしてきました。その、うんどうかいでみごと百かいとべたのです。お家のひとにもみてもらうことができました。うれしいきもちでいっぱいです。すごいですね。

 


 

 

 

 

さくらんぼの句

  

        さくらんぼの句   福本めぐみの評

 

 

ハワイへと飛び立つ空にいわし雲 中三 笠間優里

 これから飛行機に乗り込んでハワイへ行くのだなあという喜びにたかぶる思いが大空に広がるいわし雲の向うへいざなわれていくようです。

 


秋晴やロケットロード未来へと 中一 本城由比奈

雲ひとつない大空を打ち上げられたロケットの道がひとすじのびて行きます。「寄り道も後戻りもせずただ、宇宙へと伸びていく雲」その先は、夢あふれる未来へとつながっているのです。秋の澄んだ大空は作者の心を澄ませ、未来を信じる心を支えます。

 


外出ればキリキリ鳴いて秋の虫 中一 岸 空大

外へ出たら、まだ虫が鳴いていました。真っ盛りの頃よりすこし心細い感じの声です。それが「キリキリ」。か細い声に耳を傾ける作者の心のアンテナは素敵です。

 


かきの実は夕焼色のお日さまだ 小五 狩屋佑菜


太陽をいっぱいあびて、じゅくしたかきの実は夕焼色だと感じました。だいだい色でも少し透明な、すけるような色、そして今にも沈んでいくお日さまの色なのです。 

 


苗を植え心を継いで稲刈を 小五 西村 樹


田植えを経験し、そして稲刈の時を迎えました。
米作りの心を伝えようとする人がいて、その心を受け継ごうとする人がいる。その事が未来へとつながっていくのです。

 


秋まつり射的であてたふうせんけん 小五 山村真市

射的をした事はありませんが、見ているとけっこう難しそうです。それが、見事、当たったのです。そして、けいひんは、ふうせんけん(風船の剣?)だったのです。よっしゃー、とふうせんけんを構えて喜んでいる姿が目に見えるようです。

 


どんぐりをたくさん拾つてこま遊び 小四 山村侑己

たくさんどんぐりを拾ってさあ、なににしよう。
そうだ「こまを作ろう」と軸をさしこんでこまを作りました。よく回るどんぐりこま。あまり、回らないこま。いろいろなどんぐりこまで遊びました。ゲームも面白いけれど、こんな遊びも楽しいですね。

 


こわいかなあかいくちべにハロウイン 小三 古賀こはる

今日は、ハロウインパーテイ。うきうきとかそうのじゅんびをしています。まっかなくちべにをつけてしあげです。自分でも、ちょっとこわいかなと思うかおに、しあがりました。楽しそうです。いつもとちがう自分になれたかな?

 


しあいの日秋まつりにもいきたいな 小三 山村隼士

サッカーか何かの試合の日と秋祭りが重なりりました。もちろん、試合の方が大事なのだけれど、でも、やっぱり、お祭にも行きたいなという、子ども心の本音です。

 


ききょうの花むらさき色で星がただ 小三 倉田 晄

ききょうのはなをおしえてもらいました。きれいなむらさき色。そして、星の形をしていると驚きをもってはっけんしました。よく見ることのおもしろさをかんじることができました。

 


ハロウインのおやつわけ合う秋のごご 小二 難波美帆

午前中にハロウインのかそうをして仲間たちといろいろなところへいって「おやつをくれないといたずらするぞー!」とおどろかして、たくさんおやつをもらってきたのでしょう。午後からはそれを、みんなで分け合います。会話もはずみます。

 


友だちと見せあつている赤いはね 小二 山村竜暉

共同募金に協力して友だちと赤いはねをもらいました。むねにつけて友だちと見せ合います。
良い事をしたという思いにいい気分です。みんなのおこづかいにたくした、やさしいこころが多くの人に届きますように。

 


おおきいぞいつまでほるのさつまいも 小一 古賀こむぎ

さつまいもをほりだしたら、かなりおおきそう。もっとほれ!まだまだ、おおきい!どこまで!まだまだ!いつまでほったらいいの?たのしいけれど、ちょっとたいへん。でも、がんばってほったら、おおきいおいもがとれました!

 


とんぼさんあきはどうなのききたいな 小一 三原咲月

ことしはなつからきゅうにさむくなったりしました。いったい、あきはどこへいってしまったのでしょう。そんなふうにかんじているひとはたくさんいたのではないでしょうか。さくしゃはそんな、ぎもんをとんぼにきいみたいなとおもっています。

 


どんぐりだはやしのおくにたからもの 小一 かりやとうあ

どんぐりをみつけました。ひとつみつけたら、つぎつぎにみつかってはやしのおくまできていました。はやしのおくには、もっとたくさんのどんぐりがありました。たからのやまです。

 


あかとんぼひらひらとんですずしいぞ 年長 くらたともひろ

あかとんぼのうすいはねがひらひらと、すずしそうにとんでいます。このあいだまであつかったのに、きょうは、すずしいです。おもったらとんぼがとんでいます。

 


なわとびを百かいとべたうんどうかい 年長 難波孝太朗

うんどうかいをもくひょうになわとびのれんしゅうをしてきました。その、うんどうかいでみごと百かいとべたのです。お家のひとにもみてもらうことができました。うれしいきもちでいっぱいです。すごいですね。

 


うんどうかいたけうまのってはしれたよ 年中 岸 しゅうた

たけうまにのってはしれるなんてすごいですね。いっぱいれんしゅうしたのでしょうね。つぎは、なににちょうせんするのかな。


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                             

 

 

 

 


 

       

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