二月号(H29)

未央の俳句

誌友の雑詠    古賀しぐれ選

 

      一舟を弧の中に入れ時雨虹     北川栄子

    

古賀しぐれの評

  先程書いた琵琶湖での時雨虹の一句である。海ではない琵琶湖ならではの景色。《一舟》の措辞が、琵琶湖ならではの水彩画のような景色を浮かび上がらせている。淡い小さな船影。その遠ざかりゆく一舟を抱くかのような時雨虹。全体に時雨れているわけではなく、沖の方が晴れたり、また比叡に日が当たったりと刻々と変わる琵琶湖の景色。その天地に情を寄せつつも、淡々と事実を述べているところにこそ、時雨虹に感動した作者の心がこの句の読み手に訴えてくるのであろう。吟行という一期一会の景色との出逢いは、正しく至福の瞬間での一句との出逢いでもあるのだ。






    一枚の落葉に動く禅の庭     早川水鳥

 

古賀しぐれの評

  未央吟行の南宗寺での句。枯山水の禅の庭。生憎その日は雨であったが、雨であったればこその静かな景色がこの一句をもたらしてくれたとも思える。堂縁に腰かけ静かに眺める禅の庭。そこにたった一枚の落葉が舞い下りて来た。その瞬間に庭の景色が動いたと感じた作者。禅の心でその景色の中に入り込んでいたなればこその授かりものの一句とも思える。天地に情を寄せ天地と一体になる。これは禅の精神にも通じる心境なのかも知れな

 






   冬すでに石に定まり利休の碑      松田吉上

 

古賀しぐれの評

   この句も南宗寺での作。僅かばかりの冬紅葉は残っていたが、いよいよ冬が来たといった佇まいの南宗寺。利休好みの茶室や蹲踞が残され、利休一門の供養塔が祀られている。その碑もいよいよ冬ざれてきたという趣。《冬すでに石に定まり》の措辞がぴたりと嵌る。侘び寂びの世界の中の利休の碑。《冬》の季題が動かぬものとなっている。




さくらんぼ(高校生以下の作品)   福本めぐみの評

 

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祖母の家の隣の柿のいと美味し    高一 北村 壮

 



 

福本めぐみの評

  祖母の家の柿ではなくて、そのお隣の柿の事を言っているところがひねりがきいていて面白いです。沢山あるものより少しの頂き物のほうが美味しい。どれ位おいしいかというと「いと美味し」と最上級に。高校生らしく美味しがっているところも楽しいです。


 






 

 
山見ると赤いもみじがアクセント        小四 山村侑己

 

福本めぐみの評

    
  冬になって、周りが枯れた色になってもまだ残っているもみじのことかなあとおもいえがきました。みなれた山でも、その一本にいつも目が行きます。その木が山のアクセントになって山全体の景色がひきしまって見えて来ます。


 




ふくろうはよるにおきてかりをする      年長 倉田智浩

 

 

福本めぐみの評

  よくしっているのですね。とりはよるはめがみえないというけれど、ふくろうはよくみえるのですね。どうぶつえんのふくろうは、ひるまはいつも、目をとじていますね。いちど、よるのふくろうにあってみたいものです。


 

 

 

 

さくらんぼの句

  

        さくらんぼの句   福本めぐみの評

 

 

祖母の家の隣の柿のいと美味し    高一 北村 壮

祖母の家の柿ではなくて、そのお隣の柿の事を言っているところがひねりがきいていて面白いです。沢山あるものより少しの頂き物のほうが美味しい。どれ位おいしいかというと「いと美味し」と最上級に。高校生らしく美味しがっているところも楽しいです。

 


真珠湾悲しい記憶十二月       中三 笠間優里

ハワイへ旅行して歴史を実感したのです。記憶として生々しく残っている方と出会ったのかもしれません。十二月に新しい意味が加わった旅となったでしょう。

 


登校や歩道いっぱい落葉だな      中一 岸 空大

沢山の落葉が舞っている通学路は、昨夜の風の強さを物語っているようです。季節の移ろいを強く感じる朝の登校です。

 


何かいるいちょう落葉の黄の下に      中一 本城由比奈

しっとりと降り積もっているいちょう落葉が少し動いているのを見逃しませんでした。何が動いているのか知りたい所ですが、黄の下にと鮮やかな明るい色で止めた事で、動いている物をいとおしく想像しました。

 


ほくほくの焼きいもの色月みたい      小五 狩屋佑菜

月の色といっても黄色く見えるときの方の色ですね。焼きいもをほくと二つに割った時の「おいしそう!」が伝わります。寒い夜食べる焼きいもの味は特別ですね。

 


固すぎてこおつたみかんむけないや      小五 山村真市

こおらしたみかん。お家でつくったのかな?冷凍みかんというのもたまに売っていますね。暖房のきいた部屋で食べると美味しいとわざと凍らすこともあります。いろんなことをしてみると、楽しいです。

 


山見ると赤いもみじがアクセント        小四 山村侑己

冬になって、周りが枯れた色になってもまだ残っているもみじのことかなあとおもいえがきました。みなれた山でも、その一本にいつも目が行きます。その木が山のアクセントになって山全体の景色がひきしまって見えて来ます。

 


みかんむき部屋いつぱいのいいにおい       小三 山村隼士

みかんをむいたとたんにいいにおいで部屋じゅうがみたされます。みんながいいにおいと感じるみかんです。そのにおいにつられてほかの人も次々とみかんを食べたりして、会話もはずみます。

 


雪うさぎ寒さにたえてはしつてる       小三 倉田 晄

雪でつくったうさぎのことなのか、雪の中で生きているうさぎのことなのかどっちなのかなあと思いながら読みました。お盆にのせて作った雪のうさぎがはしってるように感じられたとしたらずいぶん上手にできたうさぎだなあと感心しました。

 


じゅうにがつにじゅうごにちはゆめの日だ      小三 三原勇真

クリスマスではなく「じゅうにがつにじゅうごにち」というからには、この日にいつもとはちがう、くらべものにならないようなすごいことがまっているのです。なにが、あるのでしょう!いっしょにうきうきさせてほしくなります。

 


冬の日は帰るじかんが早くなる       小二 難波美帆

日が短かくて暗くなるのが早いから、お友だちとあそんでいてもなんとなくそわそわしますね。大人もおなじ気持ちです。家についたら、なんだ、まだ、こんなじかんかと思うことがあります。

 

 


まちたんけんおちばが二色になつていた      小二 山村竜暉

今までとはちがう木がおちばしはじめていることにきがついたのでしょうか。おなじ木でもはっぱのいろはひとつじゃないことにきづいたのでしょうか。まちたんけんという目で見ると、いつもはきづかないことにもきづくのです。

 

 


ふゆになりひらひらおちるもみじたち       小一 かりやとうあ

ひらひらとおちるもみじのはっぱに、きせつをかんじているのですね。

 

 


がしゃがしゃとおちばをふんでたのしいな    年長 難波孝太朗

おちばをふむおとが、がしゃがしゃときこえるところがおもしろいです。ちょっと、かたくておおきなはっぱだったのかな。てんきのよい日だったのかな?すごくたのしそうに、すごくげんきにふんでいるようすをそうぞうしてたのしくなりました。

 

 


ふくろうはよるにおきてかりをする      年長 倉田智浩

よくしっているのですね。とりはよるはめがみえないというけれど、ふくろうはよくみえるのですね。どうぶつえんのふくろうは、ひるまはいつも、目をとじていますね。いちど、よるのふくろうにあってみたいものです。

 


せんせいとおちばをそらにとばしたよ      年中 岸しゅうた

たくさんのふかふかのおちば。それを、すくって「それっ」てそらへむかってなげました。それが、かぜにのってとんでいったのです。おちばは、どこへいったのかな?せんせいもいっしょになってあそんでたのしかったです 。

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                             

 

 

 

 


 

       

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