三月号(H29)

未央の俳句

誌友の雑詠    古賀しぐれ選

 

      諳ずる台詞ひと言聖夜劇     岩崎洋子

    

古賀しぐれの評

  

例会での一句。席題は《クリスマス》であった。クリスマスという発想からは、降誕祭のミサの様子、聖夜の街の様子、子供達のクリスマスイブの愉しい様子等々、まあこれがまともから詠おうとするクリスマスの句であろう。が、作者は「聖夜劇」に目を付けた。虚子の説く、主題から遠ざかって心を周囲の景色に遊ばせてみる事を正しく実践した一句。聖夜劇の子供が一生懸命に台詞を覚えている。何度も繰り返し覚えている台詞はたったの一言。この諧謔味が聖夜劇という真剣さと相まって、洵に面白い詠いぶりとなった。品の良き諧謔味。この匙加減はなかなかに難しい。品を備え、俳諧味のあるクリスマスの一句が誕生した。







    生国は問はず城下に年惜む     小玉ヒロ子

 

古賀しぐれの評

  

大阪城の吟行句。最近は頓に外国人観光客が多くなった大阪。中でも大阪城は異国人のメッカとなっている。四百年前の戦国時代の城に大勢の外国人が押し寄せるというのも奇異な話ではあるが、城は最も日本らしい名所なのであろう。そのことを踏まえての一句。日本人も外国人もそんなことはお構いなしに大阪城の今を楽しんでいる。《生国は問はず》がなんとも時代めいて面白い。日本人は日本人なりに、異国人は異国人なりに美しい大阪城を楽しみ、お城下の年を共に惜しんでいるのであろう。

 






   冬ざれを曝す百相城の石      徳岡美祢子

 

古賀しぐれの評

  

この句も大阪城。百万とも言われる大阪城の城垣の石。豊臣時代の城塁は地下に埋まり、今現在見えるのは徳川幕府が築城したものである。いかにして運ばれたのであろうと思われる巨岩もあれば、残念石と言い、折角に運ばれたのに城塁として使われず、城苑に転がっている石もある。何々藩と分る刻印の彫られた石もある。《冬ざれを曝す百相》の城石。百相がそれぞれの城石の主張を表している。




さくらんぼ(高校生以下の作品)   福本めぐみの評

 

  さくらんぼからのお知らせ 
 高校生の方もどしどし投稿下さい
 未央誌のさくらんぼの用紙ご使用下さい
 

 

 

寒そうな風とおりぬけ冬木立    小四 西川真采



 

福本めぐみの評

 

「寒そうな」と言っていますから作者は部屋の中から外を見ているのです。風が吹きぬけている木々のようすに冬を実感しています。


 






 

 
クリスマスかざりのしたにお手紙を    小三 山村隼士

 

福本めぐみの評

    
 

「サンタさんプレゼントくれるかな」「そうだ、お手紙を書こう」と書いた手紙。そっと、クリスマスかざりの下に手紙をおきました。きっと、来てくれましたね。サンタさん。


 




ふとんからなかなかでられずあと五分    小二 難波美帆

 

 

福本めぐみの評

 

あと五分、あと五分。なかなか、おふとんから出られません。私もまいにちおなじきもちです。あたたかいおふとんほどきもちのいいものはありませんね。


 

 

 

 

さくらんぼの句

  

        さくらんぼの句   福本めぐみの評

 

 

クリスマス見つめる先に星ひとつ    中三 笠間優里

クリスマスと言えば「星」です。イエスの誕生を告げ、羊飼いや東方の博士を導いたベツレヘムの星。そんな事を思いながら聖夜の星をあおいだのでしょう。

 


新しい私の部屋へ初日かな       中一 本城由比奈

「新しい私の部屋」がとてもすがすがしい感じです。中学生として迎える年の初め、部屋に入る初日に特別な思いを抱いています。

 


南天の実が少しずつ減っていく   中一 岸空大

寒さも本格的になり、野山に食べ物が不足してきているからでしょうか。鳥が庭先の南天の実を食べにきているのです。それも、少しずつ。小さな生き物に心を寄せている作者の思いを感じます。

 


学校のろう下でくしゃみがひびいてる   小五 山村真市

学校のろう下のがらんとした空間や寒さにひびきわたるくしゃみ。校長先生のくしゃみだったりして。いろいろなことが想像できます

 


こたつから出られなくなるねこたちも    小五 狩屋佑菜

おとなも、こどもも、ねこも一度こたつにはいったら出られなくなりますね!本当にこたつはきもちいいです。うちのねこも、こたつが大好きです。

 


寒そうな風とおりぬけ冬木立    小四 西川真采

「寒そうな」と言っていますから作者は部屋の中から外を見ているのです。風が吹きぬけている木々のようすに冬を実感しています。

 


道照らすとても大きな冬の月    小四 山村侑己

もしかすると、秋の月よりも大きくて明るいのではないかと思うほどの月です。寒いピーンとはりつめた空気の一すじの道が明るく照らしだされています。

 


お正月おせちりょうりが楽しみだ    小三 倉田晄

お正月のおせち料理を楽しみにできる子が何人いるでしょう。お正月と言っても、やきにくやなべりょうりを食べたという子が少なくありません。いつまでも、おせち料理にしたしんでほしいです。

 


ゆきつもりどこがどこだかわからない    小三 三原勇真

今年のゆきはつもりました!どこが道で、どこがみぞなのかわからないくらい。あたらしいゆきをふんで、みぞにはまったらたいへんです。でも、一面のゆきげしき、本当に、きれいでした。


クリスマスかざりのしたにお手紙を    小三 山村隼士

「サンタさんプレゼントくれるかな」「そうだ、お手紙を書こう」と書いた手紙。そっと、クリスマスかざりの下に手紙をおきました。きっと、来てくれましたね。サンタさん。

 


クリスマスツリーの下に一輪車    小三 古賀こはる

サンタさんにおねがいしていたのかな。ぴかぴかの一輪車をクリスマスツリーの下に見つけました。ヤッター!はるには一輪車をのりこなすすがたが見られるのかな。


白いいきはいてなわとび五十回    小二 山村竜暉

冬は体がかたくなります。そんな時はなわとびがいいですね。五十回も飛んだら体もぽかぽかしてきます。

 


ふとんからなかなかでられずあと五分    小二 難波美帆

あと五分、あと五分。なかなか、おふとんから出られません。私もまいにちおなじきもちです。あたたかいおふとんほどきもちのいいものはありませんね。

 

 


ストーブのちかくにいくとおこられる     小一 かりやとうあ

やけどをしてはいけないから、あぶないよとしかられているのでしょうか。あったまってばかりいて、ちっともうごこうとしないんだから!することをしてしまいなさい!なんていわれているのかもしれません。

 

 


いもうととはいるかまくらつくるんだ    小一 こがこむぎ

あこがれのかまくら。ゆきがふったら、だいすきないもうととはいれるくらいのをつくろうとたのしみにしています。ことしのゆきなら、きっとつくれましたね。

 


おもちつきぺたぺたぺったんたのしいな    年長 難波孝太朗

「おもちつき」のたのしさが「ぺたぺたぺったん」のなかにかんじとれます。

 

ハムスターのゆきがにんじんたべました    年長 くらたともひろ

「ゆき」はハムスターのなまえかな。ゆきのようにしろいのかな。そのゆきがおいしそうにあかいにんじんをたべました。なんてかわいいのでしょう!

 

ゆきあそびはやくみんなとしてみたい    年中 岸しゅうた

みるみるつもったゆき。ひとりであそんでもつまらない。おともだちとあそんだらどんなにたのしいでしょう。ゆきがとけてしまわないうちに、はやく、はやくとこころがおどります。


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                             

 

 

 

 


 

       

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