五月号(H29)

未央の俳句

誌友の雑詠    古賀しぐれ選

 

      梅はシテ鳥はワキなる城日和      奥村つよし

    

古賀しぐれの評

  

 大阪城の梅林での連作である。城という特別な場所での梅見。句心をより刺激するものとなったのであろう。この作者独特の詠いぶりが面白い。シテとは能役者が扮するシテ方のこと。ワキ役に比べていっそう歌舞伎的な技法で演じられる。いわゆる主役といったところか。城日和という舞台が整った大阪城の梅林。老幹が見得を切るように並び立ち、白梅紅梅が咲き誇っている。その梅に誘われるように来る鳥影。このように詠われてみると、成程と得心させられる。正に作者の一壺天を醸し出している。《新は深なり》という虚子の言葉にも通じる新たな句境が好もしい。







    伸びのびと広ぐる歩幅梅香る       石 泉

 

古賀しぐれの評

  

 永らく腰痛に悩まされていた作者。思い切って手術を決意された。手術が終り麻酔から覚めた瞬間から、病床そしてリハビリに励み歩けるようになるまでの連作である。気丈な作者。前向きに物事に対処される姿勢は天晴である。リハビリを経て伸びやかに散歩する道すがらに梅が匂ってきた。まるで作者の回復を祝ってくれているような梅日和。これから溌剌と吟行される姿を見られることであろう。

 






   捨石に坐し陽炎となりゐたり       松田吉上

 

古賀しぐれの評

  

 大阪城での吟行句。大阪城には城石にと遠くから運び込まれながら城垣に使われなかった大きな石が城苑の片隅に転がっている。残念石とも名づけられている。その捨石に坐った作者。遠き戦国の世の落城の歴史にでも思いを馳せているのであろうか。その思いと共に自身も陽炎となってしまったとは、なかなか上手い発想ではないか。


 

 



さくらんぼ(高校生以下の作品)   福本めぐみの評

 

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食べたいな誰か見ているひなあられ      中二  本城由比奈



福本めぐみの評

 おひなさまを見ると、おいしそうなひなあられ。食べたいなと感じました。きれいなおひなさまより、ひなあられのほうに関心があります。「花より団子」です。そんな、心を誰かに見すかされたように感じました。その目線の先にいるのはおひなさま。ちょっと不思議な気分の春の昼です。


 






 

 
えほうまきむごんでたべてねがいごと      小四  三原勇真

 

福本めぐみの評

 えほうまきはせつぶんにその年の「えほう」をむいてたべるまきずしのこと。一本たべきるまで「むごん」でいたらねがいごとがかなうといいます。作者はどんなねがいごとをしたのでしょう。おすしやさんのせんでんだとしてもたのしいですね。


 




せつぶんで手づくりおめんこわいかお      小三  山村竜暉

 

 

福本めぐみの評

 豆まきをするからお面をつくりました。うんとこわい顔にしました。だれがこのお面をかぶったのでしょう。さんざんに豆をなげつけられたことでしょうね。それも春の楽しみです。


 

 

 

 

さくらんぼの句

  

        さくらんぼの句   福本めぐみの評

 

 

食べたいな誰か見ているひなあられ      中二  本城由比奈

 おひなさまを見ると、おいしそうなひなあられ。食べたいなと感じました。きれいなおひなさまより、ひなあられのほうに関心があります。「花より団子」です。そんな、心を誰かに見すかされたように感じました。その目線の先にいるのはおひなさま。ちょっと不思議な気分の春の昼です。

 


豆まいて食べたらまいてまた食べて       小六  山村真市

 手、あるいはマスの中の豆、いえ、まめの入ったひと袋を持たされて「豆まき」を頼まれたのかもしれません。ちょっと、つまんで「鬼は外」ちょっと食べて、またひとつまみ「鬼は外」なんとものんびり楽しい豆まきです。

 


春くるよ自然のお知らせ梅の花         小六  狩屋佑菜

 梅の花が咲くと誰もがもうすぐ春だなと感じ「もう春ね。」なんて言葉をかわしたりします。そして、梅の花が咲き始めると日に日に風も日ざしも春らしくなっていきます。人は自然のお知らせを聞いて春を感じます。自然と語りあっているのですね。

 


赤と白少し見ぬ間に咲いた梅        小五  山村侑己

 いつも見ているのに咲くところを見なかったそんなことって良くあります。少し見ぬ間というところが俳句的。梅の花はひとつ、ふたつと少しずつ咲いていつの間にか満開になります。

 


つばめのす赤ちゃんたくさん生まれたよ      小四  倉田 晄

 つばめがすをかけ始めるとわくわく、はらはらします。いくたびも、親となるつばめがすを造るためにどろや、わらをくわえて行き来します。すができあがるまでになん日もかかり、たまごを産んで赤ちゃんが生まれるまでにまた沢山のしれんがあります。だからこそ、赤ちゃんが生まれたときのよろこびはひとしおです。

 


豆まきはあとかたづけがたいへんだ       小四  山村隼士

 「鬼は外」「鬼は外」と鬼を追いかけて豆をまいたのでしょうか。部屋にも、庭にも豆がちらばっています。ちらばった豆をひろい集めるのもたいへんです。でも、楽しかったでしょうね。

 


えほうまきむごんでたべてねがいごと      小四  三原勇真

 えほうまきはせつぶんにその年の「えほう」をむいてたべるまきずしのこと。一本たべきるまで「むごん」でいたらねがいごとがかなうといいます。作者はどんなねがいごとをしたのでしょう。おすしやさんのせんでんだとしてもたのしいですね。

 


しゅくだいのあとは公園いぬふぐり       小三  難波美帆

 しゅくだいをすませていった公園にいぬふぐりが咲いていたよというだけのことなのに、なんだかやさしいひざしや春が来たなっていうほっこりした気持ちになります。いぬふぐりという花のやさしさです。

 


せつぶんで手づくりおめんこわいかお      小三  山村竜暉

 豆まきをするからお面をつくりました。うんとこわい顔にしました。だれがこのお面をかぶったのでしょう。さんざんに豆をなげつけられたことでしょうね。それも春の楽しみです。

 


びゆんびゆんとゆきはそらからふつてくる      小二  かりやとうあ

 どんなゆきもそらからふってきますが、びゅんびゅんそらからふってくるといわれると、つぎからつぎへとゆきがはげしくそらからわきあがるようにふってくるいきおいをかんじます。こわいくらいふってくるゆきです。

 


はるのみちだんごむしがあるいてる        小一  くらたともひろ

 だんごむしがあるいている。ちいさなあしで、たくさんのあしではるのみちをあるいている。ちいさいけれどたしかなはやさで。子どもたちがだいすきなだんごむしのきせつがやってきます。

 


うぐいすのこえがきこえるすべりだい        小一  難波孝太朗

 とんとんとかいだんをのぼってすべりだいをすべろうとすると、とりのこえがきこえました。あ、うぐいすだときづきました。すこし、たかくのぼったぶん、うぐいすのこえがしたしくかんじられます。はるかぜといっしょにすべりだいをすべります。うららかなこうえんです。


 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                             


 

       

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