六月号(H29)

未央の俳句

誌友の雑詠    古賀しぐれ選

 

      一天も岡部の領地つちふれり     松田吉上

    

古賀しぐれの評

  

 岸和田城吟行の折の句である。岸和田は岡部氏五万石の城下町。小さな天守が復元されている。その天守よりの見晴らしは素晴しい。茅渟の海の彼方に淡路島を望め、反対側は金剛、葛城の連山が遠く聳えている。この日は生憎のとの曇り。遠望が利かない日でもあった。そこで掲句登場となる。《つちふれり》の季題が絶妙に効いている。海山の景色を望みつつ、この城下町の空までもが岡部の領地であったのだという発見。中国大陸の砂塵がこの城下町の天空を覆っている。それは黄砂に攻められているようでもある。遠く戦国の世の岡部の領地と遠い中国よりの黄砂が作者の思いを天上にまで広げたのだ。城下町の景色より思わぬ発想が飛び出した。これも俳句の大いなる効果であろう。







    生飯台へ鹿の来てゐる修二会かな     加藤あや

 

古賀しぐれの評

  

 「生飯台」は「さばだい」と読む。生飯は「衆生の飯」の意で、餓鬼や鬼子母神などに供するため、食前に取り分けた少量の飯のこと。屋根などに撒いておく。修二会の僧が供しておいたものを奈良の鹿が食べに来ている。いかにも参籠の二月堂らしい光景ではないか。仏に仕える身は自身のことよりもその周辺の生き物であったり、仏に気を配らねばならない。世の生き方を教わる修二会の作法とも言えよう。修二会の句としては面白い発見句となった。

 






   春キャベツ百運び込む相撲部屋      西尾澄子

 

古賀しぐれの評

  

 住吉大社では大阪場所に毎年立浪部屋がやってくる。宮土俵では稽古姿も観覧出来る。その相撲部屋に丁度食材が運びこまれたのを目撃しての一句。「相撲」自体は秋の季題なので、なかなか春場所の雰囲気が出しづらいもの。それを《春キャベツ》という具体的な季題を持って来たところがこの句の手柄。しかも《百》という数字がよく効いている。大食漢の力士の腹を満たすご馳走となるのであろう。


 

 



さくらんぼ(高校生以下の作品)   福本めぐみの評

 

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水牛に揺られて風の暖かし    高二 北村 壮



福本めぐみの評

  水牛の引く車に乗って揺られて行きます。道も地道で水牛のゆったりとした歩みに任せてよく揺れます。身を任せて揺られていると、心も身体も伸びやかになります。吹く風も暖かく出会う人々の心もあたたかく風景までもがあたたかく、やさしく感じられます。


 






 

 
まだひとり春の香りがするよもぎ     小六 狩屋佑菜

 

福本めぐみの評

 「まだひとり」。集団登校の朝かもしれません。誰かが来るまでの少しのひまによもぎを摘んでみました。指先に匂う香りに春を感じてひとりの時間を楽しむ自分を発見しているのかもしれません。


 




庭へ出て春のお日さまいい気持ち      小四 倉田 晄

 

 

福本めぐみの評

  とにかく、庭へでてみましょう。お日さまが気持ちいいですよ。と呼びかけられているように感じる句です。なにもかも、春らしい日です。


 

 

 

 

さくらんぼの句

  

        さくらんぼの句   福本めぐみの評

 

 

水牛に揺られて風の暖かし    高二 北村 壮

水牛の引く車に乗って揺られて行きます。道も地道で水牛のゆったりとした歩みに任せてよく揺れます。身を任せて揺られていると、心も身体も伸びやかになります。吹く風も暖かく出会う人々の心もあたたかく風景までもがあたたかく、やさしく感じられます。

 


伊勢参願いを胸に橋渡る     高二 本城七海

春に伊勢神宮へ参詣する事を特に伊勢参として季題になっています。三月にお参りするとさらにご利益があるといわれ昔から多くの人がこの月にお参りしたようです。作者もそんな話を聞いて出かけたのでしょう。五十鈴川を渡る橋に近づくといよいよ神の領域と身も心も引き締まる思いです。作者の願い事の強さを感じます。

 


スカート丈短くなって卒業す     高一 笠間優里

中学校の制服のスカート丈が短くなった事を自身の成長を振り返って懐かしく誇らしく思っています。そして、輝かしい未来へ踏み出す希望に溢れる心が「卒業す」にこめられています。

 


赤福の店まずチエック伊勢参り     中二 本城由比奈

伊勢の名物赤福餅。その本店へ行く事ができる。これも、また、旅の楽しみ。店に入る事は参詣の後にするとしても、店の場所だけは確かめておきたいものと心が弾みます。

 


まだひとり春の香りがするよもぎ     小六 狩屋佑菜

「まだひとり」。集団登校の朝かもしれません。誰かが来るまでの少しのひまによもぎを摘んでみました。指先に匂う香りに春を感じてひとりの時間を楽しむ自分を発見しているのかもしれません。



ふきのとう土の固まり持ち上げた     小六 山村真市

ふきのとうが顔をだしています。土を半分かぶった状態でうーんと力をこめて土を持ち上げているように見えます。春の大地の息遣いのようにあちらこちらから顔を出すふきのとうに自然の力を感じている作者です。

 


ひなあられチョコ粒さがし競そうだ     小五 山村侑己

雛祭の楽しみは、飾ることより、食べる事、の男子たち。雛あられと見るなり中に混じっている数少ないチョコの粒をめぐって競争が始まるというのです。

 


菖蒲の芽仲間といっしょに天を指す     小五 西川真采

菖蒲の芽の重なり並んでいる姿、揃って真っ直ぐ伸びているようす仲間だと感じ、いっしょに天をめざしていると見ました。同じ根っこに育ち同じ空を見ている菖蒲の芽たちに心を寄せます。

 


祝卒業少しさみしくなるぼくら      小四 山村隼士

「祝」と卒業していく六年生を祝いながら、見送る自分たちの気持ちを素直に述べています。でも、「少し」ですから、もう、気持ちは前をむいています。

 


さくらみておだんご食べてさいこうだ     小四 古賀こはる

ほんとうに、そうです。きれいなさくらを見て、おいしい物を食べて、ほかに何がいるでしょう。なんにもいりませんね。さいこうです。そのような心でいること、これもまた、さいこうです。

 


庭へ出て春のお日さまいい気持ち      小四 倉田 晄

とにかく、庭へでてみましょう。お日さまが気持ちいいですよ。と呼びかけられているように感じる句です。なにもかも、春らしい日です。

 


春休み犬のさん歩のお手つだい      小三 難波美帆

春休み、何かひとつ家のお手伝いをすることに決めました。それは、「犬の散歩」忙しいお母さんは大助かりです。
春はどこを歩いても、気持ちいいです。

 


たんぽぽをラグビー場でみつけたよ     小三 山村竜暉

ラグビー場という場所がいいですね。土手や公園ではあたりまえなのですが、はげしいラグビーというスポーツのくりひろげられているかたすみで見つけたたんぽぽに発見のよろこびを感じています。

 


さくらの木はやくめをだせおうえんだ     小三 三原勇真

今年はさくらのはながなかなか咲きませんでした。入学式が来ても、まだ、咲いていない所も多くありました。花の咲いていないさくらまつりもありました。待ちきれない作者は「はやく、芽を出せさくらさん」とおうえんしたいきもちになったのです。まるで、さるかに合戦のカニのようです。

 


さくらまでじてん車こいだあめあがり     小二 古賀こむぎ

あめがあがったよ。お日さまがでてきたよ。あの、さくらまで、じてんしゃでいってみようよ。あたたかな、あめのあとは、さくらもはなをひらいてくれたかもしれない。今年のさくらは、ほんとうにまちどおしかったです。

 


つくしとりがんがんいくぞまだあるぞ     小二 西川嘉人

つくしをがんがんつむといういきおいにびっくりします。が、がんがんいってもまだまだつくしははえている。そして、まだまだ、つむぞとはりきっている。そんなに、つんでどうするの?あきれながらも、まだ、つむぞ。たのしい、はるのいちにち。

 


しんがっきかんじおおいぞがんばるぞ     小二 かりやとうあ

しょうがっこうせいかつになれて、つぎは、二年生。しんがっきから、かんじをいっぱいならうんだ。どきどきするけど、がんばるぞってはりきっています。かんじってかっこいいものね。がんばってください。

 


こうえんのつくしはこびとみたいだよ     小一 難波孝太朗

こうえんのつくしは、とびとびに、見つけることができます。とんがりぼうしをかぶって、ぎざぎざのすそのようふくをきて、ほんとうにえほんのなかにでてくるこびとのようですね。

 


うぐいすがきれいなこえでなきました     小一 くらたともひろ

こうしてほうこくされると、ほんとう?もう、ないたの?ほんとうにきれいなこえだったのでしょうねえってかんどうします。


 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                             


 

       

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