七月号(H29)

未央の俳句

誌友の雑詠    古賀しぐれ選

 

      古都遅日日影は水の音迅く    水上末子

    

古賀しぐれの評

  

  一見すると何でもない句のように思える。日永となった古都の水の音を詠っているのみのように思われるが、そこに作者の発見が感じられる。長閑な古都を走る水音は、それまでの少し硬い水の音とは違う音と感じた作者。しかも日向と日影では水音の速度が違っていると感じたのだ。実際の水音は日向と日影で速度が違うわけではない。正しく作者の感性がそのように思わせたのであろう。古都の中を走る水音。このさりげない材料のみで、古都の遅日の景色が眼前に浮かんでくる。この一句の寡黙さが魅力となった。単純でありながら、奥の深い句。虚子の説く多くを言わずして多くの意を運ぶ一句となった。







    酸欠の肺を充たせる花の風     森本恭生

 

 

古賀しぐれの評

  

  入院の五連作である。肺機能が低下した作者。手術ということではなく日常の生活を円滑にするための訓練入院ということのようである。正に満開の桜の見守る病床。ここはひとつじっくりと桜を愛でつつ病気と相対そうではないかと覚悟を決めた作者。正に花明りの中のリハビリ生活。その病んだ肺を充たすのは花の風。そう詠われただけでも病状が良くなったように思える。俳句の力で病に打ち勝っていただきたく思う。

 






   雨上る気配囀フォルティッシモ      加藤あや

 

 

古賀しぐれの評

  

  フォルティッシモとは音楽の強弱標語。フォルテよりも強くの意。そう言えば、雨が降っているときには感じないが、雨上がりという時は囀りが一段と姦しくなるもの。鳥も雨が晴れるのを喜んでいるようでもある。何気ない日常の気配を《フォルティッシモ》という特異な用語で表現し成功した句。聴覚に訴えてくる五七五である。


 

 

 



さくらんぼ(高校生以下の作品)   福本めぐみの評

 

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くうちゅうにまあるくとんだしゃぼんだま      小二 かりやとうあ



福本めぐみの評

  いきをふき入れるとストローからゆっくり出てくるしゃぼん玉。ストローをすこしゆがんではなれるしゃぼん玉。今はかぜもなくてまあるくちゅうにうかんでいます。こわれないでとんでいってねとみまもるさくしゃです。


 






 

 
たけのこをみんなでほったよたのしいな       小一 くらたともひろ

 

福本めぐみの評

  たけのこはかんたんにほれるものではないようです。ちからもこんきもいります。みんなで、きょうりょくして、土とかくとうしながらほって、たけのこがゆらゆらゆれはじめたら、もうすぐです。ほりあげたたけのこ「ほったぞー」とみんなでよろこびあったのでしょう。


 




えんそくがもうすぐあるようれしいな        小一 難波孝太朗

 

 

福本めぐみの評

  しょうがっこうせいかつにも、すこし、なれて、えんそくにいくひが、ちかづいてきました。おやつをもっていくのでしょう。おやつのかいものもたのしみです。


 

 

 

 

さくらんぼの句

  

        さくらんぼの句   福本めぐみの評

 

 

太陽のこぼれあふれる芝桜       高二 本城七海

 満開の芝桜です。白、紅、桃色の桜に似たかたちの小花が太陽を浴びてあふれ咲き、地面を埋め尽くします。葉の色を見せず一面の美しい花の絨毯になります。

 


菜の花の苦みも春の兆しかな      高二 北村 壮

菜の花は早い所では、お正月に収穫するものもありいち早く食した作者は、その苦味に春の兆しを感じています。七草に春を感じた先人と同じです。土からわずかに覗いた、蕗の薹、土筆、春は苦味のある物が美味しいです。

 


山で聞く同じさえずり窓の外      中二 本城由比奈

山で聞いたさえずりを今、自分の部屋の窓のすぐそばに聞いたのでしょう。今までは、聞きとめることもなかったかもしれないさえずりが、山で聞いたことで身近なものになりました。声に気づくと、聞いた時の山の風景もよみがえります。

 


学級で花見に行こう芦屋川        小六 山村真市

「学級」という言い方が、ちょっと昭和な感じがして花見と似合っています。芦屋川という素敵な花の名所へ友と行くのです。小学校最終の最初の思い出作りです。いい「学級」になりそうです。

 


ふるさとをやさしくてらすおぼろ月       小六 狩屋佑菜

作者の目の前に「ふるさと」といわせるほど美しい山河や田畑がひろがっているのでしょう。思わず「おぼろ月夜」という唱歌を口ずさみたくなります。そんなふるさとを持つ作者をうらやましいと思います。

 


ひらひらと桜まいちる芦屋川          小五 山村侑己

まいちるという言い方がやさしいです。花びらひとつひとつを美しいと感じている作者のこころを感じます。芦屋川の絵巻物です。

 


おいしいなみんなでたべるたけのこだ      小四 倉田 晄

たけのこはみんな大好きです。子どもも大人も。とくに、掘りたてのたけのこを料理してもらって、うつわいっぱいに盛られたたけのこなんておいしくて、あっという間になくなりますね。

 


春になり裸の桜が服を着る           小四 三原勇真

はだか木だった桜があっという間に満開になる様子を「服を着る」と言い切ったところが面白いですね。次は葉桜に早がわりです。

 


校庭にならぶチューリップあざやかだ       小四 山村隼士

新一年生を歓迎するように並べ植えたチューリップが一せいに咲きました。歌のように、赤、白、黄色と整列していてとてもあざやかなのです。

 


草もちがあまつてみんなでじやんけんだ       小三 山村竜暉

みんなひとつずつ食べて、それでも余っている草もち。食べながらみんなの目が余っている草もちをねらっている。どうする?よし、じゃんけんだ!草もちらしい活気があります。

 


パンジーに学級花だんまっ黄色          小三 難波美帆

クラスで植えたパンジーが咲き始めて満開に。なんと黄色ばかり植えたのですね。花だんが黄色一色になりました。黄色も、また明るい春の色です。

 


くうちゅうにまあるくとんだしゃぼんだま      小二 かりやとうあ

いきをふき入れるとストローからゆっくり出てくるしゃぼん玉。ストローをすこしゆがんではなれるしゃぼん玉。今はかぜもなくてまあるくちゅうにうかんでいます。こわれないでとんでいってねとみまもるさくしゃです。

 


たけのこをみんなでほったよたのしいな       小一 くらたともひろ

たけのこはかんたんにほれるものではないようです。ちからもこんきもいります。みんなで、きょうりょくして、土とかくとうしながらほって、たけのこがゆらゆらゆれはじめたら、もうすぐです。ほりあげたたけのこ「ほったぞー」とみんなでよろこびあったのでしょう。

 


えんそくがもうすぐあるようれしいな        小一 難波孝太朗

しょうがっこうせいかつにも、すこし、なれて、えんそくにいくひが、ちかづいてきました。おやつをもっていくのでしょう。おやつのかいものもたのしみです。_


 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                             


 

       

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