８月投稿の皆様の俳句です この中から一番好きな句を選んで送信下さい、次月のページに句毎に選の数を載せます。

ネットで俳句会員投句集８月投稿分です。公正を期する為、作者の名前は伏せてあります。
一番好きな句を一つ選んで戴き　その句の頭の番号を９月１５日迄にメール送信下さい。

※ホームページ機能上認識出来ない漢字はひらかなにて表示していますのでご了承下さい

 

８−１　咲かんとて刻を育てし月下美人
８−２　花茣蓙や磯の香浸みてふくれけり
８−３　ダンディの白ハンカチや見えを張る

　

８−４　花桐の高きに揺れて雲速し
８−５　薔薇真紅老いにもありぬ憤り
８−６　病む人に祈りの深し濃紫陽花

　

８−７ 宿題やれば御褒美夏休み
８−８ ナイターや売り子に野次に騒がしき
８−９　蜜豆をたべて街いく人を見る

 

８−１０　この道は赤のまんまの故郷よ
８−１１　花火消え暗闇広く深く咲く
８−１２　故郷の人の老ひゆくつくつくし

　

８−１３　流灯の風の生まるる二つ三つ
８−１４　大文字六波羅蜜時小さく在り
８−１５　扉を開けて解明けの僧の白き顔

 

８−１６　山の日や富士より親しき茶臼山
８−１７　選手権魔物魔物棲むてふ甲子園
８−１８　生駒嶺の朝日眩しき稲の花

 

８−１９　里山のシャワ―を浴びし蝉時雨
８−２０　頭垂れ色づき急ぐ稲穂かな
８−２１　目の前に飛び来て消える蜻蛉かな

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

８−２２　秋の蝉声明終へて落ちにけり
８−２３　秋めきて悟りの空の高くあり
８−２４　稲妻に畳の光る座禅かな

 

８−２５　朝顔に誘われ来る小雨かな
８−２６　西瓜喰うをみなの口の逞しき
８−２７　水引の揺れて花粒増やしをり

 

８−２８　地蔵会の灯へ手引き走り出す
８−２９　溝萩に白紙を巻きて供えあり
８−３０　湯上りの子と並びゐて秋涼し

　

８−３１ 夏休み御褒美糧に宿題す
８−３２ ナイターや九回裏に野次が飛ぶ
８−３３ 蜜豆やＯＬ歩く窓の下

 

８−３４  橋涼しその真ん中にしばし立つ
８−３５  熟睡の胸に本おきハンモック
８−３６  法善寺横丁の灯り鱧料理

８−３７　朝涼や開かれたる戸の十センチ
８−３８　赤蜻蛉空百畳を占めて群れ
８−３９　原爆忌朝餉中断せし黙祷

 

８−４０　山の日や富士より親し生駒山
８−４１　選手権魔物棲むてふ甲子園　　　
８−４２　この残暑年金蒸発早かりき

　                  　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

８−４３　茹でられてひとしお青きささげかな
８−４４　引き潮に攫はれてゆく子蟹かな
８−４５　夕されば蜩鳴ける宮の杜

　 　　　　　　　　　　　　　　　　　　

８−４６　大文字送り火の消へ闇の月
８−４７　秋の海慕情広ごる列車の窓
８−４８　鷺草の今を飛び立つ気配あり

　

８−４９　初盆や亡き兄著るす書をひろげ
８−５０　朝顔や老いの一徹朝体操
８−５１　余生など無しと翁の生身魂

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

８−５２　助つ人の身幅の合はぬ踊かな
８−５３　色を足す沿革ありき大花火
８−５４　オクターブ高き声出る帰省かな

　

８−５５　偕老に束縛は無し古酒新酒
８−５６　ダム底は墓場なりけり身にぞ入む
８−５７　木犀の香に誘われて桧門

 

８−５８　秋来ぬと風を心に一行詩
８−５９　仏塔へ白の喝采木槿垣
８−６０　揺れあうて風触れあうてゑのこ草

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

 

 

　

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

　

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

８月号のホームページに掲載された皆様の句から一番良いと思われる１句をこの９月号に掲載しております。

 

７−３　凛凛と蓮の蕾の背伸びせり　　　　　美々杏里　　　（１人選あり）

 

７−５　角帯をきゅつきゅと鳴らし夫の夏　　　関根　富美子　（２人選あり）

 

７−１２　献血の出来ぬ齢や蛍狩　　　　　駒野牧堂　　　　　（１人選あり）

 

７−１６　鐘の音に背筋を伸ばす雲の峰　　　　秋野あかね　　（１人選あり）

 

７−２０　柵の朽ちて浮草流れ過ぐ　　　　　寺島　みゆう　　（１人選あり）

 

７−２３　文脈に阿吽の心落し文　　　　　　小次郎　　　　　（１人選あり）

 

７−２５　蜘蛛の囲や一夜の業の光る朝       奥村僚一       （１人選あり）

　　

７−３３　みちゆきの恋路ヶ浜や星涼し　　　辻　雅宏　　　（２人選あり）

 

７−３５　曇天や泰山木の一花晴れ　　　　大澤　敏惠　　　（２人選あり）

 

７−３９　雷鳴に座禅の僧の改まる　　　　浦島太郎　　　　（２人選あり）

 

７−４０　蒼く碧く無限に青き夏の海　　　小島文郁　　　　（１人選あり）

 

７−４５　アイスティ無言で語る昼下がり　　　高橋泉也　　　（２人選あり）

 

７−４６　三代の袖を通して白絣　　　　横山ゆう　　　　　　（２人選あり）

 

７−５０　絵日傘の行く太格子細格子　　　　三木 蘭　　　　　（１人選あり）

 

７−５５　空が好き水とび出して未草　　　　郷原和美　　　　（１人選あり）

 

７−５８　ほととぎすよく鳴く夜明け残る月　　　阿部栄子　　（１人選あり）

 

 

 

 

 

８月号に掲載された皆様の句の中から主宰が選を致しました。

 

主宰選の句　及び　特選３句

 

７−１　口開けて鯉の寄り来る五月晴　　 　美々杏里

　　　　

７−４　藍浴衣博多の帯を胸高に　　　　　　　関根　富美子
　　　　　　　原句（胸高に博多の帯や藍浴衣）

７−５　角帯をきりりと締めて夫涼し　　　　　関根　富美子
　　　　　　　原句（角帯をきゅつきゅと鳴らし夫の夏）

７−９　掘り崩しをり山盛のかき氷　　　　　矢野敬和
　　　　　　原句（掻氷山盛りカップ掘削す）

７−１１　エリザベスてふ苺を飾り夏帽子　　　　　　駒野牧堂
　　　　　　原句（苺名はエリザベスてふ夏帽子）

 

７−１７　夏菊のふと香り来る古刹かな　　　　　秋野あかね

　 　　　　　　　

７−１９　一列に父の後行く蛍狩　　　　　　　　寺島　みゆき

７−２１　仰がねば見えざる高さ向日葵黄　　　　寺島　みゆき
　　　　　　原句（向日葵の見えぬ高さに咲きにけり）

 

７−２２　空蝉も法話聞き入る昼下り　　　　　小次郎
　　　　　

  　　　　　　　　　　　　　

６−２１　滝となるまでの名水汲み上ぐる　　　　　　駒野牧堂

 

７−２４　睡蓮や現の水を誰か去る　　　　　　　小次郎
　　　　　原句（睡蓮の現の水を誰か去る）

 

７−２５　蜘蛛の囲や一夜の業の光る朝　　　　　　　奥村僚一
　　　

７−２７　垣根ごし語りくるごと凌霄花　　　　　　　奥村僚一
　　　　

 

７−２８　夕立の去りて心の余白かな　　　　　　山川桃太

　

７−２９　夏の山閑に風を放ちたる　　　　　　　山川桃太

 

７−３２　京の町コンチキチンと盛夏来る　　　　　　　辻　雅宏

７−３３　みちゆきの恋路ヶ浜や星涼し　　　　　　　　辻　雅宏

　　　　　 　　　　　

７−３５　曇天の一花泰山木明り　　　　　　大澤　敏惠
　　　　　原句（曇天や泰山木の一花晴れ）

７−３６　老鶯の声沈みゆく精進池　　　　　　　大澤　敏惠

７−３８　大いなる邪心一掃はたた神　　　　　　浦島太郎

　　　　

７−４１　雲の切れカンナの燃えてゐる朝　　　　　　　　小島文郁
　　　　　　原句（朝の雲切れて眩しきカンナ咲く）

７−４４　特急の窓叩きゆく雷雨かな　　　　　　　　高橋泉也

７−４５　アイスティ無言で語る昼下がり　　　　　　　高橋泉也

 

７−４６　三代を着まはしてをり白絣　　　　　　　横山ゆう
　　　　　　原句（三代の袖を通して白絣）

７−４９　足元に鯉の寄り来る夏座敷　　　　　　　三木蘭

７−５０　絵日傘の行く太格子細格子　　　　　　　　三木蘭

　　　　　　　　　　　　

７−５３　身に入むや娘の子育てに我を見し　　　　　　　　酒匂律子

 

７−５４ 覗き込む吾の映りけり水澄めり 　酒匂律子
　　　　　　原句（澄む水に覗き込みいし我映り）

７−５６ 子燕の全身嘴となる刹那　　　　　　　郷原和美
　　　　　　原句（子燕の嘴全身となる刹那）

７−５８ 月残る夜明けなりけり時鳥　　　　　　阿部栄子
　　　　　　原句（ほととぎすよく鳴く夜明け残る月）

７−６０　傍らに自転車を置き三尺寝　　　　　　阿部栄子

 

 

 

 

 

特選　３句　及び主宰の寸評

 

７−１３　　　下駄音のはしやいでをりぬ盆踊　　　　鈴木小弥太
　　　　　　　原句（先ず下駄が燥ひでをりぬ盆踊り）

カランコロンといかにも涼しげな下駄音。路地を抜ければそこは盆踊の広場。調子の良い音頭が鳴り、いよいよ盆踊の始まりである。自然と昂ぶる心。その燥ぎぶりを下駄音で表現した。あちらの下駄音もこちらの下駄音も弾んでいる。盆踊の活気が感じられる。

 

７−１８　　　蓮の花一片落つる水の音　　　　　　秋野あかね

　あの見事な蓮の花ならではの落花の音ではないかと思われる。水の上に咲き誇る蓮。まさに極楽浄土の水辺。そのたった一片が落ちた音。静寂の極楽浄土ならこその水音なのであろう。その落花は水に美しく漂っているに違いない。心洗われる一景の一句となった。

 

７−３９　　　雷の一喝座禅僧改まる　　　　　浦島太郎
　　　　　　　原句（雷鳴に座禅の僧の改まる）

　何事にも動じてはならない座禅僧。座禅の警策ならぬ雷の一喝。流石の座禅僧も雷の警策には驚いたよう。こんなことで動じてはならないと、心を引き締めたのであろうことが分る雷と座禅の僧の刹那が見事に描き切れた。