十月号(H30)

未央の俳句

誌友の雑詠    古賀しぐれ選

 

     蝉時雨止みてをり母死にてをり       福本恵夢

 

    

 

古賀しぐれの評

  

 五句ともお母様のお亡くなりになった時の句である。肉親、殊に母の死ほど深い哀しみはないと思われる。虚子の説くごとく、如何なる季題を選んで詠うか。この作者の場合は《蝉時雨》《炎昼》《夏の空》《夏の闇》《夏逝く》と夏真っ只中の季題が並ぶ。そこに如何にして深い哀しみを込め、詠い上げてゆくか、難しいところではあるが、流石の追悼句が並ぶ。蝉時雨がふりそそいでいた時間。お母様が息を引き取られたと同時にその蝉時雨もぴたりと止んでいた。その一瞬の静寂が母の死と重なり、何とも言えぬ深い哀しみが漂ってくる。事実のみを伝え情感を伝える一句。

 

 

 




    かつと夏どつと異国語城満たし        加藤あや

 

 

古賀しぐれの評

  

  今年の夏は殊の外の猛暑であった。この暑い中を大阪城に押し寄せる異国人。異国人にしてみれば、城のある景色と言うのが一番日本らしいのかも知れない。大阪城は大人気。異国人で満ち溢れていた。「かつと」「どつと」というオノマトペが的確。活気溢れる大阪城を活写出来た。


 

 






  月涼しひとりひとりの通夜心         福本めぐみ

 

 

古賀しぐれの評 

  同じく弔句が並ぶ。この作者の季題は《月涼し》。充分に母を看取ったという気持ちも窺われる。通夜を見守る月の涼しさ。ひとりひとりの胸にある亡き人への追慕。哀しみを表に出さず、しみじみとした思いが偲ばれる。俳句心とは斯くあるべしという感を強く受ける一句。

 


 

 

 



さくらんぼ(高校生以下の作品)   福本めぐみの評

 

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引退の日焼薄らぎ恋うテニス      中三 本城由比奈


 

福本めぐみの評

  引退試合を終えて、テニスから少し遠ざかっているうちに、日焼けが薄らいでいる事に気づいた作者。女子なら色白がうれしいところですが、それも寂しさにつながって、もう、テニスを恋はじめています。テニスへの思い、部活への思いを新たにしている作者です。

 

 


 






 

 
赤と黒まじる夕焼甲子園            小五 倉田悠玄

 

福本めぐみの評

  夏の高校野球を見たのでしょうか。すばらしい、力のこもった試合を見届けた空に広がる夕焼けは赤でもなく、オレンジでもない、赤と黒のまじった色だったのです。そこに、作者の興奮と感動を感じます。

 



 


あつくなりがまんできないじゅぎょう中        小三 三原咲月

 

 

福本めぐみの評

   ことしのあつさは、ふつうではありませんでした。咲月さんの学校はまだ、クーラーがついていないのでしょう。がまんしてじゅぎょうは続けられたのでしょうか。来年までには、クーラーが全部のがっこうにつくといいですね。

 


 

 

 

 

さくらんぼの句

  

        さくらんぼの句   福本めぐみの評

 

 

引退の日焼薄らぎ恋うテニス      中三 本城由比奈

 引退試合を終えて、テニスから少し遠ざかっているうちに、日焼けが薄らいでいる事に気づいた作者。女子なら色白がうれしいところですが、それも寂しさにつながって、もう、テニスを恋はじめています。テニスへの思い、部活への思いを新たにしている作者です。

 

梅雨明けて猛暑が続きとけそうや         中一 狩屋佑菜

「とけそうや」という言葉に実感があります。何度この言葉をかわした今年の夏でしょう。度を越した暑さの表現にぴったりです。関西訛りも効果的です。

 

朝が来て入道雲があくびする           中一 山村真市

入道雲がどのようになっているのか、朝の入道雲をしばし観察しました。夕方のものより少し力が抜けてふやけているような、迫力に欠けて、発達する気配が少ないように感じます。縦にのびてふやけた感じが「あくび」なのでしょうか。面白い感じ方です。

 

虹かかる空から皆を守ってる           小六 山村侑己

先日のゲリラ豪雨的な雨の後に私も虹をみました。とてもはっきりした七色で、大きくて光がさすと何かほっとした心持ちになりました。作者もそうだったのかなと想像します。人の力の及ばない様々な災害、自然の怖さを日々、目の当たりにして、ふとした時に自然が見せてくれる別の美しさに、やはり人の力を超えた物の存在に安心を感じるのでしょう。

 

赤と黒まじる夕焼甲子園            小五 倉田悠玄

夏の高校野球を見たのでしょうか。すばらしい、力のこもった試合を見届けた空に広がる夕焼けは赤でもなく、オレンジでもない、赤と黒のまじった色だったのです。そこに、作者の興奮と感動を感じます。

 

雨止むとすぐに聞こえるせみの声         小五 山村隼士

この頃の雨は、ざっとふって、さっと止んで、また、ざっと降ってさっと止むことが多いです。その度にわっと鳴いて、ぴたっと止んで、わっと鳴いてぴたっと止む蝉にすごいなって感心している作者です。大人はぼーっと聞いていますけれど。

 

切ないなすぐたたかれる蚊の命          小五 倉田 晄

蚊に思いを寄せてくれる人もいるのです。ぼうふらを面白いと見つめる人もいます。やっと、蚊(成虫)になったのに、いきなりたたかれて、蚊の命のはかなさを感じている作者です

 

大プールパパときょうそうクロールで        小四 難波美帆

クロールでというところが、かっこいいです。いかにもスピードが出ていて、パパとがっちり勝負している感じです。しかも、大プール。作者の自信が感じられます

 

遊ぶ時毛虫が落ちてこないかな           小四 山村竜暉

公園や校庭は桜の木が多いですから、毛虫はこわいですね。しゅばばばっと毛をとばされると、あっというまに、かぶれてしまいますから。でも、暑くて木蔭はいい遊び場ですからね。

 

あつくなりがまんできないじゅぎょう中        小三 三原咲月

ことしのあつさは、ふつうではありませんでした。咲月さんの学校はまだ、クーラーがついていないのでしょう。がまんしてじゅぎょうは続けられたのでしょうか。来年までには、クーラーが全部のがっこうにつくといいですね。

 

かぶと虫大きなつのでたいけつだ         小三 宮田 拳

かぶと虫のオスのつのをつきあわせてのたいけつはおもしろいですね。友だちのかぶと虫とのたいけつなら、いよいよもりあがりますね。

 

ごうかくだアイスクリームうれしいな       小三 かりやとうあ

なににごうかくしたのかは、わかりませんが、ごほうびのアイスクリームとてもおいしそうで、こちらまで、うれしくなります。

 

かぶと虫よるをさまよう王さまだ        小二 倉田智浩

かぶと虫がさまよっているすがたを見たことはありませんが、しいくばこの中で、よるになると、がさごそ、うごきまわっているのをみます。しいくばこからふたをもちあげて、とうそうすることもあります。力のつよさは虫の王さまですね

 

くわがた虫かぶと虫より長生きだ        小二 難波孝太朗

くわがたの方が長生きなのですか。知りませんでした。かぶと虫はたまごをうむと、けっこうはやくしんでしまうなあと思っていました。くわがたの、しいくはむづかしいときいていますが、かっているのですね。すごいですね。


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                             


 

       

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