十一月号(H30)

未央の俳句

誌友の雑詠    古賀しぐれ選

 

     屋敷神灯し三伏恙なし      池田幸惠

 

    

 

古賀しぐれの評

  

  八月は未央の殆どの会がお休みだったので、丹波篠山の山南句会を訪ねた。雑詠でお名前は存じ上げているが、初めてお会いする方達ばかりであった。その句会に同行してくれた折の句。丹波は稲の秋を迎えていた。美林の里でもあり、檜皮の工房があった。そこに、掲句の屋敷神が祀られていたのだ。屋敷神とは屋敷内に祀る神、地主神のこと。自然とともに暮しがある丹波ならではの屋敷神。家内の神に毎朝お燈明を上げ、一日の無事を祈る。そして日々育ちゆく稲の無事の稔りを祈られるのであろう。正しく地に足の着いた暮しぶり。その屋敷神の灯りを見て《三伏恙なし》の措辞が浮かんだのだ。殊の外極暑であった今年。篠山の稲が無事稔りの秋を迎えていた安堵もあったであろう。

 

 

 




    初秋や灯して匂ふ青畳       松田吉上

 

 

古賀しぐれの評

  

   初秋という季題は微妙である。夏の果であり、秋の初めでもある。その感覚は人それぞれに違う。それを具体的な言葉によって初秋と感じさせるのが俳句。作者はこの季題設定が絶妙である。青畳は最初から匂っている。が、灯ともして、青畳だと感じた視覚は余計に嗅覚を刺激するということであろう。《灯して匂ふ》の措辞が《初秋》の季題にピタリと嵌る。この表現は作者にしか出来ない。


 

 






  庭草に沈む宿下駄露涼し         早川水鳥

 

 

古賀しぐれの評 

   この句も宿下駄の事のみを詠って、庭草の茂りや庭草に宿るきらきらと耀く朝露までをも表現している。旅の朝、早々に目覚めた作者は朝露を置く庭へと宿下駄で下りたったのだ。《庭草に沈む宿下駄》の措辞が庭の草の茂りを的確に伝えている。《露涼し》の季題が見事である。

 


 

 

 



さくらんぼ(高校生以下の作品)   福本めぐみの評

 

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じぞうぼんおみくじぜんぶ二等賞          小四  山村竜暉

 

 


 

福本めぐみの評

  じぞうぼんのおみくじというのは、福引のことなのでしょうか。各家庭に子どもの数だけ福引けんが配られて福引をするのです。おもちゃや文具、洗剤など様々な景品が用意されています。一等賞はちょっと欲しいなと思うゲームだったりしてみんながねらっているのでしょう。作者もやはり一等賞をねらっていたのでしょうが、残念、二等賞でした。ちょっとくやしさがにじみます。

 


 






 

 
山の中くぬぎの木にはかぶと虫         小三  かりやとうあ

 

福本めぐみの評

  山歩きをしていて教わったのでしょうが。くぬぎの木にかぶと虫がいるんだよと。その事を知ってからはくぬぎの木がどんな木なのか。どんな、葉っぱなのかどんどんきょうみがわきますね。くぬぎの木を見つければかぶと虫をさがす目になります

 



 


夏の空家族いっしょに火星見た          小二  山中沓子

 

 

福本めぐみの評

  今年の夏は火星が地球に大接近した年でした。家族で天体望遠鏡をのぞく機会があったのです。家族いっしょに火星を見たその特別な夜、どんな話をしたのでしょう。お父さんはなにを話してくれたのでしょう、お母さんは、作者は何を感じたのでしょう。作者の一生の思い出に残る夜になった事はまちがいありません。

 


 

 

 

 

さくらんぼの句

  

        さくらんぼの句   福本めぐみの評

 

 

ためらわずクーラーつけて勉強す        中三  本城由比奈

 「今年の夏は今までにない暑さです。命に関わる暑さです。ためらわずにクーラーをつけてください。」と何度テレビのアナウンスは繰り返されたでしょう。家庭はもちろん学校でもクーラーが使用され、外出は禁止、野外活動が中止になった所も多くあったでしょう。そんな、記録に残る異常気象が背景にある句となりました。

 

八月の予定配られ目が回る          中一  狩屋佑菜

中学校生活初めての夏休みの予定がくばられました。部活や、塾の予定の他にも、地震や、大雨で変更になった授業の振り替えなどもあったかもしれません。改めて、中学校生活を実感しているのでしょう。

 

公園でまだまだやれると秋の蝉         中一  山村真市

しばらく聞かなかった蝉の声を公園で聞きました。久しぶりの晴天の公園、濃い秋日の中、精いっぱいなく蝉の声に力強さを感じています。

 

台風で縮小された夏まつり            小六  山村侑己

台風二一号は各地に様々な影響を与えました。子どもたちの楽しみにしていた夏祭りも予定していたいくつかは取りやめになり、規模を小さくしてとりおこなわれました。全部取りやめにならなくて良かったです。

 

角度変え線香花火長持ちだ           小五  山村隼士

線香花火の楽しみ方はいろいろあるのでしょうが、火花の花咲く時間を競ったことはいつまでも思い出に残っています。ちょっとした花火の持ち方の角度にも工夫した事を思い出しました。

 

空見上げあっとおどろく満月だ           小五  倉田 晄

「あっとおどろく、ためごろう〜」などという流行になった言葉のフレーズを小学生の作者が知っているとは思えませんが、思わずそう、言いたくなるような月が空に輝いています。そうだ、今日は満月だったんだと立ち止まる作者です。

 

じぞうぼんおみくじぜんぶ二等賞          小四  山村竜暉

じぞうぼんのおみくじというのは、福引のことなのでしょうか。各家庭に子どもの数だけ福引けんが配られて福引をするのです。おもちゃや文具、洗剤など様々な景品が用意されています。一等賞はちょっと欲しいなと思うゲームだったりしてみんながねらっているのでしょう。作者もやはり一等賞をねらっていたのでしょうが、残念、二等賞でした。ちょっとくやしさがにじみます。

 

山の上大きな大きな雲のみね         小四  難波美帆

いつのまにかできあがった雲のみね。山の上に積みあがっていることで、圧倒的な大きさを感じます。

 

山の中くぬぎの木にはかぶと虫         小三  かりやとうあ

山歩きをしていて教わったのでしょうが。くぬぎの木にかぶと虫がいるんだよと。その事を知ってからはくぬぎの木がどんな木なのか。どんな、葉っぱなのかどんどんきょうみがわきますね。くぬぎの木を見つければかぶと虫をさがす目になります

 

夏の空家族いっしょに火星見た          小二  山中沓子

今年の夏は火星が地球に大接近した年でした。家族で天体望遠鏡をのぞく機会があったのです。家族いっしょに火星を見たその特別な夜、どんな話をしたのでしょう。お父さんはなにを話してくれたのでしょう、お母さんは、作者は何を感じたのでしょう。作者の一生の思い出に残る夜になった事はまちがいありません。

 

夏終わり秋の夕日がさしている          小二  倉田智浩

「夏終わり」と最初につぶやくように言っているところに秋の夕日が少しせつないです。自分に言い聞かせているのです。もう、楽しかった夏は終わりだよ。もうすぐ、二学期が始まるんだよ。気持ちを新しくして、さあ、二学期もがんばりましょう。

 

山の池いっぱいいたよ夏の蝶         小二  難波孝太朗

だれも知らないような山の池なのでしょうか。あまり、大きくない池をそうぞうしました。人もいなくて蝶だけが、たくさんむれ飛んでいるようすをそうぞうしました。とても、うつくしくて、絵本の世界のようです。


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                             


 

       

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