六月号(H30)

未央の俳句

誌友の雑詠    古賀しぐれ選

 

     桜見てより新たなる松の青        網本紘子

 

    

 

古賀しぐれの評

  

   今年の桜は開花が例年より早かった。瞬く間に桜の季節が過ぎ去ってしまった感じではあるが、又桜の季節に出合えたという幸せ、日本人独特の季節感を堪能出来る時間でもある。何十年と繰り返し、挑戦してきた桜の句。今年はまた新たなる桜の句を作るぞというチャレンジ精神が窺がえる一句である。五句全部が桜の句。「花の昼」「花霞」「花の風」と桜はいろいろな言葉で表現される。この句は平安神宮の桜。紅枝垂れ桜の雅な紅から手入れの行き届いた松の姿に目を転じての作。それまでもちろん、美しい松の緑であるなあと感じていたのであるが、雅なる枝垂れ桜を鑑賞した後の松の緑が一際作者の目を捉えたのであろう。いつも自然体の作句姿勢が新たなる桜の句を生み出した。

 

 

 




    師を偲ぶ楠の流転や町朧        伊福幸枝

 

 

古賀しぐれの評

  

   河内長野での吟行句。先月も書いたが、河内長野へ赴くと虹二先生のことが思い出される。この句の「楠の流転」は作者が虹二先生を追悼された文章の中に出て来る大楠。駅前の区画整理の為に移転された虹二邸にあった楠は今も尚駅前に鎮座している。しかも立派な祠まで出来、神として祀られているのだ。虹二先生の面影があり、偲ぶよすがともなっている楠。作者にとっては忘れ難い師との思い出。いつまでも慕われる師は偉大であり幸せであると思われる。


 

 






  花の谿跨ぎゴンドラ花に着く        岩崎洋子

 

 

古賀しぐれの評 

  神戸のハーブ園へのぼるロープウエー。花の街から花の谿を越え花の山の駅に着く。なんという幸せな景色であったことか。山々は芽吹きの最中。淡い緑のなかに、点点と花明りが見えて来る。正に花の絶景を眼下に見てゴンドラは花真っ盛りの山の駅に到着。「花」「花」と重ねて絶景を見事に浮かび上がらせた一句。


 

 

 



さくらんぼ(高校生以下の作品)   福本めぐみの評

 

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優勝の歓声ひびき山笑う            中三  本城由比奈


 

福本めぐみの評

  学年最後の試合での優勝。その喜びは大きいでしょう。終わり良ければ全て良し!です。屈託のない大歓声に季節もすすみ、山は笑い、風は光ります。明るい明るい新年度の始まりです。

 


 






 

 
春の川新しい命いっぱいだ                小五  山村隼士

 

福本めぐみの評

   春の日差しのさしいる川の水が、少しあたたかくなるころ、川をのぞきこみたくなります。うまれたての小さな魚が群れをなしていたり、蜷の道をみつけたり、石をめくると、カニがいたり、エビやヤゴなども見つけることができます。本当にさまざまな命が一度にかがやきはじめます。自然ゆたかな川が身近にあるしあわせ感じます。

 




遠くからみている桜はわたがしか               小四  三原勇真

 

 

福本めぐみの評

   一本の桜のすがたが、遠くからみると、ピンク色のわたがしのようだというのです。そういわれると、桜のりんかくのはっきりしない感じや、かさなるとあわいピンクに見える色なんかは、わたがしのようです。

 


 

 

 

 

さくらんぼの句

  

        さくらんぼの句   福本めぐみの評

 

 

優勝の歓声ひびき山笑う        中三  本城由比奈

 学年最後の試合での優勝。その喜びは大きいでしょう。終わり良ければ全て良し!です。屈託のない大歓声に季節もすすみ、山は笑い、風は光ります。明るい明るい新年度の始まりです。

 

やわらかなたんぽぽの色あたたかい       中一  狩屋佑菜

たんぽぽのやさしい黄色はやわらかい色合いで、ぽっと心を照らしてくれてあたたかく感じます。実際にたんぽぽに触れるととてもやわらかくて、その細やかな花びらのつくりに驚きます。茎には産毛も光りそれもとてもやわらかです。

 

春の土黄緑の芽が飛び出した          中一  山村真市

ものの芽には色々な色がありますが、私はカンゾウやふきのとうの芽なんかは、遠くから見てもわかります。あっと気づいたら、引き返すくらいです。作者の黄緑の芽を発見した喜びを一緒に感じてうれしくなります。

 

夜桜がライトをあびてうれしそう          小六  西川真采

桜の花が夕暮れになるとだんだん景色の中に沈んでいきます。そして、夜の闇に飲み込まれてしまいます。けれどライトアップされるとふたたび、別の顔をして浮かびあがるのです。作者はその顔をうれしそうと感じました。それは、作者の気持ちでもあるのです。

 

軒の裏いつできるのかつばめの巣          小六  山村侑己

つばめが軒に通いはじめました。巣を作る場所に選んでくれたのです。しきりに泥やわらしべを運んでくるのですが、なかなかできあがりません。一度は、もう、ここに作ることをあきらめたのかなと思う程です。そして、ようやく出来上がるころきれいな声で歌い、卵を産み、つばめの子育てが始まります。

 

春の川新しい命いっぱいだ            小五  山村隼士

春の日差しのさしいる川の水が、少しあたたかくなるころ、川をのぞきこみたくなります。うまれたての小さな魚が群れをなしていたり、蜷の道をみつけたり、石をめくると、カニがいたり、エビやヤゴなども見つけることができます。本当にさまざまな命が一度にかがやきはじめます。自然ゆたかな川が身近にあるしあわせ感じます。

 

落ちつばき水にうかべてかざったよ          小五  倉田 晄

そのままにしておくには、もったいないほどのきれいな
落ちつばきを見つけたのです。ていねいにひらってそっと、かたむかないように水にうかべます。つばきの花が、もういちど美しく開いたようです。

 

遠くからみている桜はわたがしか           小四  三原勇真

一本の桜のすがたが、遠くからみると、ピンク色のわたがしのようだというのです。そういわれると、桜のりんかくのはっきりしない感じや、かさなるとあわいピンクに見える色なんかは、わたがしのようです。

 

兄ちゃんがそつぎょうするの悲しいな          小四  山村竜暉

小学校に入学した時からずっとお兄ちゃんは学校にいました。特にふしぎに思うことも無くここまできたけれど、お兄ちゃんの卒業を間近にして実感するのです。登校・下校の時も季節ごとの行事の時もあたりまえのようにいてくれたお兄ちゃん。少し、悲しいけれど卒業おめでとう。そして、いままでありがとう。

 

もくれんの白い花さくバス通り            小四  難波美帆

春、いっせいに咲くもくれんの花。バス通りのみとおしのいい広い道を、まっしろなもくれんのはなでふちどられたら、どんなにうつくしいでしょう。そして、春のおとずれを一度に感じてどんなにうれしいでしょう。

 

どうしようそつぎょうしたよおねえちゃん        小三  かりやとうあ

だいじょうぶ、おねえちゃんがそつぎょうしても、しっかり、がんばれるとおもいますよ。でも、ほんとうに、やさしくて、たよりになるおねえちゃんなのですね。きょうだいっていいですね。

 

きさご貝きらきらひかってきれいだよ         小二  倉田智浩
きさご貝、おいしいらしいですね。まき貝で内側が、しんじゅのようにひかっているそうです。私は見たことも食べたこともありませんが、しゃしんを見ると、とてもかわいらしくてつぶつぶです。おはじきにしてあそんだりできるそうです。

 

うんていの中からはるの山見える          小二  難波孝太朗

うんていをしていると、その上に、はるの空が見えて、おりてしまうと、その続きに山がみえる。「うんていの中から」という、みるばしょがかわっただけで、いつも見ているやまが、はるの山というとくべつの山にみえるのです。


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                             


 

       

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