七月号(H30)

未央の俳句

誌友の雑詠    古賀しぐれ選

 

     あたたかや神の言葉を説ける手話       松田吉上

 

    

 

古賀しぐれの評

  

    高槻の教会での吟行句。神父の教えを手話で子供たちに伝えている光景に出合った。考えてみれば、目が見えない、耳が聞こえない、歩けない等々さまざまな障害を持ちながら生きてゆかねばならない人々が沢山おられる。何の障害もないものから見たら気の毒にと思えることがある。が、掲句の季題は《あたたかや》。ステンドグラスから射す春光が教会を暖かく包み込む雰囲気の中での神父さんの言葉。《神の言葉を説ける手話》の一節が聖書からの言葉のように心に沁み込んでくる。一つの景色を捉えるにしても、人それぞれに暖かくもあり冷たくも感じられることがある。折角俳句を詠むのであれば、掲句のように慈悲の心を持って詠んでゆきたい。あたたかい一句である。

 

 

 




    声聞かばきつとソプラノ花水木         奥村つよし

 

 

古賀しぐれの評

  

  花水木はアメリカ原産。日本に入って来たのは明治の末。ワシントン市に贈った桜の返礼として日本に贈られた。新しい宅地には花水木が沢山植えられている。ちょっと洒落た街角を演出している。その花水木が声をあげたらきっとソプラノに違いないと詠う。花水木の美しく明るい雰囲気がそう思わせたのであろう。斬新な句。この様な想像をするのも愉しいではないか。極楽の俳句たる所以を見た思い。


 

 






  杜若風の乱れはすぐ正し        西尾澄子

 

 

古賀しぐれの評 

   美しい紫のはなびらが気品を漂わせる杜若。住吉大社の浅沢社に咲く杜若は余計に品を感じさせる。はなびらは勿論、真直ぐに伸びた茎、それに添う艶やかな葉は正に神に捧げる花の姿に相応しい。桜や柳は風の成すまま靡いているが、杜若は風に少々乱れても、すぐに直立する。杜若の姿を端的に捉え、調べの美しい気品のある一句に仕上った。

 


 

 

 



さくらんぼ(高校生以下の作品)   福本めぐみの評

 

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公えんではちのすみつけて大さわぎ        小四 山村竜暉


 

福本めぐみの評

   みんなが遊ぶ公園で、はちのす発見。さされては大変!おとなに知らせたら、その大人も大さわぎなんてことになったのかな。はちのすのくじょ、無事できたのかな。気をつけてくださいね。

 


 






 

 
たんぽぽのわたげ雲までとんで行け        小四 難波美帆

 

福本めぐみの評

   たんぽぽのわたげをみつけると、吹かずにはいられません。ふーっと吹いた作者の目線は青空ではなく白くうかんだわたのような雲でした。しんせんな風景が目にうかびます。

 




とんでいくどこまでいくかしゃぼん玉        小三 かりやとうあ

 

 

福本めぐみの評

    たくさんたくさんしゃぼん玉を吹きながら、その中のひとつがどこまでもこわれずにのぼっていくのをずっと見つめています。見とどけたいという気持ちがいいです。

 


 

 

 

 

さくらんぼの句

  

        さくらんぼの句   福本めぐみの評

 

 

模試終わる結果上々桜もち       中三 本城由比奈

 模擬試験の緊張から開放されて、試験を振り返ると結果は上々のように思われます。思わずにっこり、安心するとお腹が減ってきます。頭を使った後の甘いものはなんて美味しいのでしょう。桜もちのやさしい甘さと香りがなんとも、いい気分です。

 

十六時桜蘂降る帰り道         中一 山村真市

十六時というと、まだまだ、明るく、風も少し出て来る頃でしょう。暑くも寒くもなくて、正に春宵一刻値千金、もう少し歩いていたいような気分です。そんな感傷的な気分の漂う句になりました。

 

舞う蝶が春をお届け楽しげに       中一 狩屋佑菜

「二つりの恋文が、花の番地を捜している」というルナールの詩のように、蝶がひとつひとつの花に止まる様子を見て春を届けていると感じました。それを楽しそうと見た作者の感じ方が素敵です。

 

通学路つつじが咲いてはなやかに        小六 山村侑己

一 斉につつじが咲くとその鮮やかな色にはっとします。わりと、どこにでも植えられていて、子どもたちが蜜を吸ったりして一番親しむ花かもしれません。

 

鳥の巣でひながすやすやねむってる        小五 倉田 晄

鳥の巣を見る機会があったのですね。中までみたかどうかはともかくとして、その中の様子を想像するだけで幸せな気持ちになります。沢山の外敵のいる中で無事に卵から生まれたひなたち元気に育って、巣立って欲しいですね。

 

新緑の空気を吸ってひと休み           小四 三原勇真

新緑の頃の空気はどこか、ひんやりもしていて深呼吸すると体の中までしみわたって、体が元気になるような気がします。次への力がわいて来ます。

 

春風に吹かれて花粉飛んでくる          小五 山村隼士

春風はすごく気持ちよくて、外で遊びたいのだけれど、花粉も運んでくるのです。この花粉さえなければ!という気持ちがにじみ出ています。共感するひとがいっぱいいそうです。

 

公えんではちのすみつけて大さわぎ        小四 山村竜暉

みんなが遊ぶ公園で、はちのす発見。さされては大変!おとなに知らせたら、その大人も大さわぎなんてことになったのかな。はちのすのくじょ、無事できたのかな。気をつけてくださいね。

 

たんぽぽのわたげ雲までとんで行け        小四 難波美帆

たんぽぽのわたげをみつけると、吹かずにはいられません。ふーっと吹いた作者の目線は青空ではなく白くうかんだわたのような雲でした。しんせんな風景が目にうかびます。

 

とんでいくどこまでいくかしゃぼん玉        小三 かりやとうあ

たくさんたくさんしゃぼん玉を吹きながら、その中のひとつがどこまでもこわれずにのぼっていくのをずっと見つめています。見とどけたいという気持ちがいいです。

 

さくらの木花につつまれたのしそう          小二 倉田智浩

さくらの木がさくらの花につつまれている。花をさかせているさくらもまたたのしいのだということを、さくらの木のきもちになってかんじたのです。わたしは、そんなふうにさくらの木のきもちになったことがなかったのでこのはいくをよんで、とてもたのしいきもちになりました。

 

あたらしいともだちふえたチューリップ         小二 難波孝太朗

いちねんから、にねんにしんきゅうして、すこしどきどきしていたけれど、すぐにおともだちがふえました。うれしいきもちでいっぱいです。あかるくさいたチューリップにこころからのよろこびをかんじます。


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                             


 

       

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