７月投稿の皆様の俳句です この中から一番好きな句を選んで送信下さい、次月のページに句毎に選の数を載せます。

ネットで俳句会員投句集７月投稿分です。公正を期する為、作者の名前は伏せてあります。
一番好きな句を一つ選んで戴き　その句の頭の番号を８月１５日迄にメール送信下さい。

※ホームページ機能上認識出来ない漢字はひらかなにて表示していますのでご了承下さい

 

７−１　空と雲風を友としあめんばう
７−２　玉虫や骸となりて瑠璃ひかる
７−３　古る網戸古家に立てば風歪む

 

７−４　約束の時間に遅る蝸牛
７−５　蕊伸べる未央柳の艶めけり
７−６　心太峠の茶屋の幟旗

７−７　緑立つ平成の世の千代田城
７−８　潮風や島の若葉はきらめきて
７−９　師の忌日躑躅の白の埋め尽す

 

７−１０　水見舞地震見舞なる日々続く
７−１１　雨あがり蝉の声聞く安堵かな
７−１２　青空の斯くも恋しき梅雨明ける　

 

７−１３　夢多き青年達よ天の川
７−１４　河鹿啼く里に暮らして五十年
７−１５　西瓜にも大器晩成ありにけり

 

７−１６　ギャルみこし黄色き声の暑さ舞ふ
７−１７　陸渡御の牛馬に神の眼かな
７−１８　何もかも忘れ天神祭かな

 

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

７−１９　巧みとは水に消えゆく鮎の群
７−２０　踏み入れし鮎の縄張り深くあり
７−２１　束の間の命おしみて鮎の恋

 

 

７−２２　豪雨禍の後の猛暑の恐ろしき
７−２３　人声ももみ消しをりぬ油照
７−２４　かき氷つううんと頭しびれたる

 

 

７−２５　香ぐはしき鰻お重の夕餉かな
７−２６　訪れる人それぞれに新茶汲み
７−２７　人波を揺らす太鼓や祇園祭

 

７−２８　釣人は舟に昼寝や波しづか
７−２９ 塩むすび特別旨し夏木陰
７−３０ 書を閉ざし揺れて楽しきハンモック

 

 

７−３１　波のごと夏山越ゆる雲の影
７−３２　山に発つ阿形吽形雲の峰
７−３３　ヨット行く大海原を操りて

 

７−３４　大琵琶の風通し遣る夏座敷　
７−３５　夜涼みの瀬田の唐橋風わたる
７−３６　五月雨や湖に昏れゆく浮御堂

 

 

７−３７　昼寝する母が最初の鼾かな
７−３８  虎猫のお気に入りなるバルコニー
７−３９　白靴に清らかなりし決意持ち

 

７−４０　登り来て山の緑に溶け込める
７−４１　空蝉の葉にしがみつく爪の力
７−４２　まばゆき日麦茶一気にガードマン

 

 

７−４３　可憐とは可愛いきものよ草の花
７−４４　半袖の早馴染めずの秋進み
７−４５　玉砂利を敷きし堰落ち水澄める

 

 

７−４６　木洩れ日を「しつかり掴み蝉蛻
７−４７　バス一台遣過ごしたる端居かな
７−４８　朝朝に掃く凌霄花の盛りかな

 

 

７−４９　日盛りや信号待ちの刻(とき)長し
７−５０　神洗う明日の吉事を願いつつ
７−５１　夏山に星降る夜や明日も晴れ

 

 

７−５２　夏の夕犬は優遊吾はよぼよぼ
７−５３　大出水ふるさとの村死者二人
７−５４　ベランダに妻の呼ぶ声二重虹

 

 

７−５５　炎天の鴉の声の嗄れて
７−５６　午後2時の地面のほてり百日紅
７−５７　あんみつやセイラ-服の頃のこと

 

 

７−５８　戸を開けて踵を返す酷暑かな
７−５９　雲海や遥かに望む塔頭
７−６０　夏の野へ羊の群れの一列に

 

 

７−６１　伊吹嶺の空を歩いてお花畑
７−６２　陶町の老舗の土間に夏暖簾
７−６３　郵便夫背中くっきり汗のシャツ

 

 

７−６４  鐘楼の丸き柱や蟻地獄
７−６５ 梅を干し骨董店は休業中
７−６６ 工事音響く街道灸花

 

 

７−６７　捩花の風のきざはし十二階
７−６８　灸花絡みつくもの垂るるもの
７−６９　夏萩の揺り残したる空の青

 

 

 

 

 

 

　

 

 

 

　

 

 

 

　

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

　

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

７月号のホームページに掲載された皆様の句から一番良いと思われる句をこの８月号に掲載しております。

 

６−１　詩のごとく風語り来る五月かな　　　　　美々杏里　　　　　　１人選あり

 

６−３　山女釣ときには雲と語りけり　　　　　　　美々杏里　　　　　　１人選あり

 

６−７　ベビーカーの中の赤子や緑さす　　　　　　　矢野敬和　　　　１人選あり

 

６−１２　夏草や古都偲びつつ鹿遊び　　　　　　　　奥村僚一　　　　　　１人選あり

 

６−１４　踊り子の越えし峠や雲の峰　　　　　　関根富美子　　　　　２人選あり

 

６−１６　アカシアの 花は異国の香と思ふ　　　　中村さだ子　　　　　１人選あり

 

６−１９　夏めくや甍の光り波打てり　　　　　　小島文郁　　　　　　　１人選あり

 

６−２３　他所の田へ貰はれてゆく余り苗　　　　　卯野花子　　　　１人選あり

 

６−２５　青瑠璃の如来の螺髪薄暑光　　　　　　大澤敏恵　　　　　　１人選あり

 

６−２７　曲屋の燻しの匂ひ梅雨に入る　　　　　大澤敏恵　　　　　　１人選あり

 

６−３３　泉石に座禅決め込む蟇　　　　　　　高橋泉也　　　　　　　１人選あり

 

６−３７　葭切や櫓も滑らかな近江弁　　　　　　津坂　夢　　　　　　　１人選あり

 

６−３９　水郷に朽ちた小舟や菖蒲咲く　　　　　津坂　夢　　　　　　　１人選あり

 

６−４０　渾身の一歩踏み出す鹿の子かな　　　　　辻　雅宏　　　　　１人選あり

 

６−４６　夕蛍崩し書きなる一行詩　　　　　　　　吉沢美佐枝　　　　　１人選あり

 

６−４７　手囲ひのひかりつめたき蛍かな　　　　　吉沢美佐枝　　　　　１人選あり

 

６−５１　水口の音拾ひ行く植田道　　　　　　　　寺島みゆう　　　　　３人選あり

 

６−５５　山門の乳鋲の破れや梅雨の蝶　　　　　　郷原和美　　　　　１人選あり

 

６−６０　風に生れ風に消えゆく川蜻蛉　　　　　　　鈴木小弥太　　　１人選あり

 

６−６４　万の音蔵して一山万緑理　　　　　　　阿部栄子　　　　　　　１人選あり

 

６−６７　鳥声に見上ぐる空や風薫る　　　　　　三木　蘭　　　　　　１人選あり

 

６−６８　緑蔭の風の加はる昼餉かな　　　　　　　　三木　蘭　　　　　２人選あり

 

６−６９　菅公の歌碑は横書き青葉闇　　　　　　　　三木　蘭　　　　１人選あり

 

６−７１　日除けある道の切れては小走りに　　　　酒匂律子　　　　　１人選あり

 

 

７月号に掲載された皆様の句の中から主宰が選を致しました。

 

主宰選の句　及び　特選３句

 

　　　　　　　　　　ネットde 俳句平成３０年７月号（６月投句分） から選

 

６−１　五月来る詩のごとくに風語り 　　　　　　　　美々杏里
原句（詩のごとく風語り来る五月かな）

　　　　
６−２　我が胸に降る一片の花楝　　　　　　　　　　　美々杏里
原句（一片の我が胸に降る花楝）

 

６−３　時々は雲と語りて山女釣　　　　　　　　　　　美々杏里
原句（山女釣ときには雲と語りけり）

 

６−５　桑の実や仲間はづれの帰り径 　　　　　　　　　　垣内孝雄

 

６−６　交番の赤き灯青葉木菟　　　　　　　　　　　垣内孝雄
原句（交番に赤き灯青葉木菟）

 

６−７　ベビーカー眠る赤子に緑さす　　　　　　　　　　矢野敬和
原句（ベビーカーの中の赤子や緑さす）

 

６−１２　夏草や鹿の遊べる古都偲ぶ　　　　　　　　奥村僚一
原句（夏草や古都偲びつつ鹿遊び）

 

６−１３　人気なき一夜城跡夏落葉　　　　　　　　　関根富美子
原句（夏落葉一夜城跡人在さず）

 

６−１４　踊り子の越えし峠や雲の峰　　　　　　　　　　　　関根富美子

 

６−１６　アカシアの 花は異国の香と思ふ 　　　　　　　　　　中村さだ子

 

６−１７　さよならの君の背を染め梅雨夕焼　　　　　　　　　　中村さだ子
原句（さよならの君の背にある梅雨夕焼）

 

６−１９　夏めくや甍の光り波打てり　　　　　　　　　　 小島文郁

 

６−２０　青き山映し植田の水明かり　　　　　　　　　　　小島文郁
原句（青き山映す植田の水明かり）

 

６−２２　老鶯の声一山を越えてくる 　　　　　　　　　　　　卯野花子

 

６−２３　他所の田へ貰はれてゆく余り苗 　　　　　　　　　　卯野花子

 

６−２６　苜蓿人寄り合うて犬自慢　　　　　　　　　　　　大澤敏恵
原句（犬自慢の人寄りあうや苜蓿）

 

６−２７　曲屋の燻しの匂ひ梅雨に入る 　　　　　　　　　　大澤敏恵

 

６−２９　己が影突き放し行く水馬 　　　　　　　　　　　　山河一草

 

６−３１　水張りし田圃に映るビルの影　　　　　　　　　　　高橋泉也
原句（掻き終へし田圃に映るビルの影）

 

６−３３　泉石に座禅決め込む蟇 　　　　　　　　　　　　　　高橋泉也

 

６−３４　黒髪を風に遊ばせ梅雨晴間　　　　　　　　　　　  秋野あかね

 

６−３６　曇天に心も黴の生えさうな 　　　　　　　　　　　　秋野あかね

 

６−３７　葭切や近江言葉の棹をさす　　　　　　　　　　　　　津坂　夢
原句（葭切や櫓も滑らかな近江弁）

 

６−３９　菖蒲咲く細江に朽ちし小舟かな　　　　　　　　　　　津坂　夢
原句（水郷に朽ちた小舟や菖蒲咲く）

 

６−４０　渾身の一歩踏み出す鹿の子かな　　　　　　　　　　　  辻　雅宏

 

６−４４　波音は昔の調べ夏はじめ　　　　　　　　　　　　　　浦島太郎
原句（初夏の浪遠き昔の調べかな）

　
６−４６　夕蛍くづし書きなる一行詩　　　　　　　　　　　　吉沢美佐枝
原句（夕蛍崩し書きなる一行詩）

 

６−４８　安曇野の水繰る音や花茨 　　　　　　　　　　　　吉沢美佐枝

 

６−４９　アカシアの花に重たき雨雫 　　　　　　　　　　　　　寺島みゆう

 

６−５１　水口の音拾ひ行く植田道 　　　　　　　　　　　　　寺島みゆう　

 

６−５３　万緑に染まり切れざる山の水　　　　　　　　　　　　山川桃太
原句（万緑に紛れ染まらぬ清水かな）

 

６−５４　紫陽花にいよいよ深き雨の色　　　　　　　　　　　　山川桃太
原句（紫陽花にいよいよ深し雨の色）

 

６−５６　未央柳箔置くやうに散りにけり 　　　　　　　　　　　郷原和美

 

６−５７　白白と夜の闇に濡れ沙羅落花　　　　　　　　　　　 郷原和美
原句（白白と夜に濡れゆく沙羅落花）

 

６−５８　己が影水に預けて川蜻蛉　　　　　　　　　　　　　 鈴木小弥太

 

６−６２　影に色あり向日葵に風過る　　　　　　　　　　　　　　小次郎
原句（向日葵の影に色有る風過る）

 

６−６３　静かなる心に聞こゆ行々子 　　　　　　　　　　　　　　小次郎

 

６−６５　渓谷の風に応へて合歓の花　　　　　　　　　　　　　阿部栄子
原句（渓谷の風に応えて合歓の花）

 

６−６８　緑蔭の風の加はる昼餉かな　　　　　　　　　　　 三木　蘭

 

６−６９　菅公の歌碑は横書き青葉闇 　　　　　　　　　　　　三木　蘭

 

６−７１　日除けある小道の途切れ小走りに　　　　　　　　　　酒匂律子
原句（日除けある道の切れては小走りに）

 

主宰選　特選

６−３０　　風を呼び風を運んでゆく青田　　　　山河一草
　　　　　　原句（風を呼び風を運びて青田かな）

　一望の青田に風が渡っている。その青田の戦ぐ景色の写生句。ようやく風に靡くようになった青田は風を呼び、その呼んだ風を早苗から早苗へとつぎつぎ運んでゆくと感じた作者。細かな写生が生き生きとした青田の一句を生んだ。

 

６−５９　　川蜻蛉雨宿りとは橋の下　　　　鈴木小弥太

　蜻蛉は秋の季。川蜻蛉は夏の季で区別が必要。糸蜻蛉のようなか細い透けるような蜻蛉を想像させる。雨に濡れては大変、すわ雨宿りと思ったか思わなかったか、「雨宿りとは橋の下」の措辞が川蜻蛉にぴたりと来る。これも発見の句として面白いと思われる。

 

 

６−６４　　万の音蔵し一山万緑裡　　　　安部栄子
　　　　　　原句（万の音蔵して一山万緑理）
　
　万の音と万緑裡が響き合っている。万緑の山は命の漲っている季節。鳥の声、水音、風音等々、生命の音に溢れているのだ。滝の落ちる音も入っているかもしれない。この句からは真夏の命の賛歌が感じられ、清々しい一句となった。