八月号(H30)

未央の俳句

誌友の雑詠    古賀しぐれ選

 

     不機嫌な繭を諭して糸を取る       森本恭生

 

    

 

古賀しぐれの評

  

  《糸取》という季題は最近なかなかお目に掛かれない。繭の中の蛹を殺し、乾燥したのち繭を煮て、繭の糸口をたどり、一本の糸にするもの。作者はおそらく余呉まで出向き、糸取りの作業を見た経験があるのであろう。たまたま兼題として《繭》《糸取》が出た時に自身の経験の記憶を辿っての句作。目の前の写生ばかりではなく、こういうチャレンジも必要。実際に見たものの写生の強みというものがある。五句ともにそれぞれ滋味のある句。殊に一句目二句目は実際に見ていなければ出来ない句。難しい糸取りをさも簡単そうに進める糸取りの指先が見えて来る。句作の幅広さを感じさせてくれる。

 

 

 




    石庭の静築山の青嵐           安部州子

 

 

古賀しぐれの評

  

  堺の禅林南宗寺での吟行句。素晴しい枯山水の庭園が広がっている。石庭は美しい波の形に箒目が入れられていた。築山は緑滴る五月。この白と緑、静と動を上手く一句に対比させた。うねる緑と波立つ石庭。波音のない石庭の上を風音を立てて青嵐が過ぎて行く。禅林ならではのこの景色は何かしら句心に訴えて来るものがある。


 

 






  方丈に利休ごころとなり端居          松田吉上

 

 

古賀しぐれの評 

  続いて南宗寺での一句。南宗寺は千利休縁の寺でもある。千利休一門の供養塔が建ち、利休好みの茶室が現存している。禅のこころと茶のこころは共通したものがあるのであろう。作者が茶の心得があるかどうかは分らないが、この枯山水の庭を眺めつつ縁に坐っていると、何かしらそういう気分になって来るのである。「利休ごころ」が上手い。

 


 

 

 



さくらんぼ(高校生以下の作品)   福本めぐみの評

 

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雲がなくすんだ青色初夏の空          中一 狩屋佑菜


 

福本めぐみの評

  雲ひとつない青空に夏の始まりをかんじています。こんな空を発見した日はとても幸せな気持ちになります。それは、校舎を出て授業から解き放たれた時かもしれません。青色と色を強調した気持ちに中学生らしい心の透明感を感じます。

 


 






 

 
ありの道大きな木までつづいてる         小六 山村侑己

 

福本めぐみの評

   今年初めてありに気づきました。よくみると沢山のありの行列が大きな木までつづいています。木の中に巣をつくるのでしょう。もう、ありの活動はしっかり始まっているのです

 




あたたかい喜び芽を出す若芽かな          小五 倉田 晄

 

 

福本めぐみの評

   うわー今日はあたたかいと喜びを感じているのは作者です。その気持ちを新しく芽を出している若芽にたくしているのです。そうすることで、木々ののびて行こうとする力も感じることが出来て喜びも大きくなります。

 


 

 

 

 

さくらんぼの句

  

        さくらんぼの句   福本めぐみの評

 

 

母の日に贈るテニスの金メダル       中三 本城由比奈

 日頃からテニスの練習に頑張っている作者をいつも支え応援してくれているお母さん。テニスの試合で優勝して獲得した金メダルを一番喜んでくれているのはお母さんの筈。そのメダルを母の日に贈る事のできた喜びは「半端ない」ことです。

 

こいのぼり空のプールにダイビング       中一 山村真市

こいのぼりを見上げていると空がプールに見えて来たのです。風にはためいている姿は空にむかってダイビングをしているようだと。勇ましいこいのぼりの様子が見えてきます。こいのぼりが、そらへ向かって解き放たれている感じが心地よいです。

 

雲がなくすんだ青色初夏の空          中一 狩屋佑菜

雲ひとつない青空に夏の始まりをかんじています。こんな空を発見した日はとても幸せな気持ちになります。それは、校舎を出て授業から解き放たれた時かもしれません。青色と色を強調した気持ちに中学生らしい心の透明感を感じます。

 

ありの道大きな木までつづいてる         小六 山村侑己

今年初めてありに気づきました。よくみると沢山のありの行列が大きな木までつづいています。木の中に巣をつくるのでしょう。もう、ありの活動はしっかり始まっているのです

 

あたたかい喜び芽を出す若芽かな          小五 倉田 晄

うわー今日はあたたかいと喜びを感じているのは作者です。その気持ちを新しく芽を出している若芽にたくしているのです。そうすることで、木々ののびて行こうとする力も感じることが出来て喜びも大きくなります。

 

おじぎ草頭にふれてごめんなさい          小五 三原勇真

おじぎ草にふれると葉が閉じてごめんなさいと頭をさげているようにみえます。おもしろくて何度でもふれてみます。だんだんおじぎ草がくたびれてしまうのではないかと思うほどです。もう、ふれるのはやめにしょうと思ったのにふれてしまって、作者が今度はおじぎ草にごめんなさいをしているように読めて、面白いです。

 

かしわもち三つの味を食べ比べ            小五 山村隼士

三つの味というと、こしあん、つぶあん、しろみそあんでしょうか。私は、全部好きですが、お腹がいっぱいになるのでひとつを選ぶことしかできません。作者の健康極まりないその胃袋がすてき!です。若武者ですね。

 

めだか来てすぐちらばって水のそこ          小四 難波美帆

童謡の「めだかの学校」のようにみんなで並んですーいすいと泳いでいる時はめだかがリラックスしている時のようです。のんびりやさんで恐がりなめだかは、ひとの影に気づくとすぐにどろの中にかくれてしまうようです。よく見てできためだかの句です。

 

ひょうたんの若葉が出たようれしいな          小四 山村竜暉

ひょうたんを植えて育てることにしたのですね。なぜ、ひょうたん?へちまでなく、食べられるきゅうりでなく・・・。これが作者の個性です。どんな植物でも、若葉が出るといよいよ、そだってくれるなあという期待感でわくわくします。沢山の実ができるといいですね。

 

めだかたちびゅびゅんととおくおよいでく         小三 かりやとうあ

ゆっくりのんびりしていためだかたちですが、ひとのかげにおどろいていっしゅんでにげていったのです。びゅびゅんがめだかたちの、ちっておよいで行ったようすをよくあらわしています。

 

こばんそういっぱいあつめどうしよう          小二 難波孝太朗

こばんそうという名前が気に入ってあつめたのかな。集めるときはいっしょうけんめい集めて、こばんがざくざくなんて言ってたのかな。ちょっとこまった感じが楽しいです。

 

いととんぼめずらしいけどきれいだな           小二 倉田智浩

きれいな水辺をこのむいととんぼ。かんきょうによっては、すめなくなってしまっているいととんぼもいます。いととんぼがいるということは、水がきれいということです。きれいないととんぼがすめるきれいな水がいつまでも守られるといいですね。


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                             


 

       

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