九月号(H30)

未央の俳句

誌友の雑詠    古賀しぐれ選

 

     地震もまた大地の阿吽雲の峰        小井川和子

 

    

 

古賀しぐれの評

  

   作者は吹田にお住まい。今回の地震の震源地に近く、住居も傷んだと伺っている。地震の句が並ぶ。が、唯地震が怖かったというだけの俳句ではない。病気の御主人を抱えて、大変な思いであったろうと思われるが、「のうぜん」「西日」「夜濯」「金魚玉」と決して暗い季題を使われていない。そのことは余計に作者の不安な心を表しているようでもあるのだ。そして掲句。地震と言ったところで、単なる大地の阿吽であると詠う。阿吽とは呼気と吸気。所謂「阿吽の呼吸」といわれるもので、大地からしてみれば些事に過ぎないと言い放つ。そして季題として選んだのが「雲の峰」。隆々とした雲の峰は自然の象徴でもあり、未来を表す言葉でもある。災害に遇っても立ち上がって来た日本。その大和魂を感じさせる詠い振りに感服である。

 

 

 




    雨蛙面の波打つ震度6         中本 宙

 

 

古賀しぐれの評

  

  これも地震の句であるが、滑稽味のある詠い方が面白い。「震度六」と漢数字にしないで「震度6」と算用数字を使ったところもリアルである。震度6の地震と雨蛙の波打つつらを同列に配したところが大胆であり、正に諧謔味を強くしたところ。地震という現実と向き合いながら、このような表現が出来るというのも極楽の俳句ならではと思える。


 

 






  荒梅雨に地震に城垣緩びなし         橋本知笑

 

 

古賀しぐれの評 

  地震があった二日後に大阪城吟行の句会があった。前日から豪雨の予報もあり、句会を中止するかどうか迷ったが、決行と決まった。いつもよりは少ない人数であったが、豪雨を押して参加された作者。あの強い地震にも、この荒梅雨にもびくともしない大阪城の石垣。さすが天下の大阪城という気持ちがこの句となった。洵にタイムリーな一句。

 


 

 

 



さくらんぼ(高校生以下の作品)   福本めぐみの評

 

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おとなりに出入りしてる親つばめ        小四  難波美帆


 

福本めぐみの評

   つばめがおとなりの家に出入りしています。子つばめがいるのでしょう。でも、作者のところからはつばめの巣も子つばめもみることはできません。せわしく出入りする親つばめの姿に子育ての必死さを見ているのです。

 


 






 

 
葉の上でのろのろあるくかたつむり        小三  宮田 拳

 

福本めぐみの評

  前の句のあめんぼの国は、一まいの池の上。かたつむりの国は一まいの葉の上。のろのろとあるくかたつむりはどこへ行こうとしているのでしょう。

 




かぶとむしせんしゃのように強そうだ        小二  倉田智浩

 

 

福本めぐみの評

   かぶとむしのからだはくろくてつよそうです。がしがしと歩くすがたをせんしゃのようだと思いました。たしかに、どんなしょうがいぶつも力強く乗りこえていきそうです。

 


 

 

 

 

さくらんぼの句

  

        さくらんぼの句   福本めぐみの評

 

 

いざサーブボールに交じる夏の蝶       中三  本城由比奈

 テニスのサーブのトスを上げたとき、夏の蝶がその、視野に入ったのでしょう。その他の映像の情報を消して、テニスボールと青空と夏の蝶に絞った表現に明るい感性がひかります

 

人は内なめくじは外雨が降る         中一  山村真市

人となめくじを対比させておもしろいですね。かたつむりではなく、なめくじです。人は家の中で降り続く雨にうんざりしている。なめくじは外でゆっくりと動きながら体をのばしている。見ようによっては喜んでいるのかも。「雨が降る」という静かさに不思議な空間がうまれます。

 

帰る中とつぜんへびが出るかもね        小六  山村侑己

「へびが出るかもね」などと思わせぶりな言い方をして、どこからの帰り道なのでしょう。しかも、とつぜん出て来るのかもしれないのですから怖いです。へびに出会ってうれしい人はいないでしょう。

 

田植えしてこけて尻もち泥だらけ         小五  山村隼士

「田植え体験」をしたのでしょうか。思ったより田んぼの泥は、ねっとりとしていて深くて足をとられてしまうのです。ゆっくりと足をひきぬかなくてはころんでしまいます。それでも、楽しい経験です。昔はみんな、手植えだったのです。

 

氷の山シロップかけて溶けていく         小五  三原勇真

ガラスの鉢の上に白いかき氷の山が作られていくと嬉しくなります。いよいよシロップをかけると、あっという間に氷のかさが溶けてへってしまいます。あーあというきもちです。私も何度もがっかりしたことがあります。シロップの上からもう一度、氷をのせると納得の高さになります。

 

夏の川子どもも魚も楽しそう          小五  倉田 晄

作者は、どこからか川遊びの様子を見ているのでしょう。はしゃぎまわっている子どもたちも、すいすい泳ぐ魚たちもとても楽しそうです。

 

おとなりに出入りしてる親つばめ        小四  難波美帆

つばめがおとなりの家に出入りしています。子つばめがいるのでしょう。でも、作者のところからはつばめの巣も子つばめもみることはできません。せわしく出入りする親つばめの姿に子育ての必死さを見ているのです。

 

あめんぼがすべっているよ池の上        小四  山村竜暉

あめんぼのすいすいと泳ぐ?姿にすずしさを感じています。すべるように移動するあめんぼに池の水はまるで鏡のようです。

 

葉の上でのろのろあるくかたつむり        小三  宮田 拳

前の句のあめんぼの国は、一まいの池の上。かたつむりの国は一まいの葉の上。のろのろとあるくかたつむりはどこへ行こうとしているのでしょう。

 

かおも手も足もどろんこ田うえする        小二  難波孝太朗

田うえを体験しました。まあ、どうしたら、手も足もかおまでも泥んこになるのでしょう。泥んこが楽しくてしかたがない田うえですね。

 

かぶとむしせんしゃのように強そうだ        小二  倉田智浩

かぶとむしのからだはくろくてつよそうです。がしがしと歩くすがたをせんしゃのようだと思いました。たしかに、どんなしょうがいぶつも力強く乗りこえていきそうです。


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                             


 

       

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