二月号(H31)

未央の俳句

誌友の雑詠    古賀しぐれ選

 

     雪隠も伽藍の一つ紅葉晴       松田吉上

 

    

 

古賀しぐれの評

  

  探秋会で訪れた東福寺。一山が広大な寺領であり、大伽藍が幾つも立ち並んでいた。その中の伽藍の一つに日本最古の東司(とうす)、所謂雪隠、便所が残されていた。東司を使うにも禅宗ならではの戒律があり、往時の禅僧の修行を彷彿とさせる大伽藍。「雪隠も伽藍の一つ」と叙されると、成るほどと再確認させられる。みんなが見ている景色であったが、この作者ならではの発見の句と思われる。そして季題は「紅葉晴」。年がら年中伽藍はあるわけで、春夏秋冬、どんな季題でも入るわけであるが、「紅葉晴」という季題が非常によく効いている。一山が紅葉に染まる中で、その広大な寺領と大伽藍が立ち上がってくる。これも季題の絶大なる効果であると言えるであろう。

 

 

 




    万象に十一月の神均し        奥村つよし

 

 

古賀しぐれの評

  

  「神の旅」という季題がある。陰暦十月、今の十一月は神々が出雲大社に集まるとされている。所謂出雲以外の諸国は神の留守。しかし天地に存在するさまざまな自然は美しく色づき、大地に還り、また来る年の芽を逞しく育てているのだと気づいた作者。「十一月の神」というのが味噌。「十一月」の季題が遺憾なくゆき渡っている。この十一月という季題を上手く使うのはなかなかに難しい。こういう考え方もあったのだと、気づかされた一句。


 

 






  青写真科学の入口を覗く          早川水鳥

 

 

古賀しぐれの評 

  「青写真」、今や古びた季題となってしまった。戦後くらいまでは冬の遊びとしてあったが、科学技術が発達した現在ではもはや見かけることはない玩具である。ネガに種紙をあて、枠付きのガラス板を押し当て日光に当てて焼き付けると漫画の主人公などが浮かび上がってくる。当時の少年がワクワクしながら焼き付けを待っている様子、「科学の入口を覗く」が正にピタリとくる。季題の説明になってはいけない。この句の切り替えの機転が素晴しく思われる。

 

 


 

 

 



さくらんぼ(高校生以下の作品)   福本めぐみの評

 

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ベランダのにぶき動きの夜のばった           中三 本城由比奈

 

 


 

福本めぐみの評

  秋の深まったベランダにばったをみつけました。草原のばったとは違う動きのにぶさに夜の闇に飲み込まれていくばったの生を感じているのかもしれません。小さな生き物にも確かな季節の変化を見てとる作者です。


 






 

 
秋限定不思議と伸びる私の手            中一 狩屋佑菜

 

福本めぐみの評

  季節限定でさまざまな製品が売り出されています。収穫の秋は特にその種類が豊富です。秋限定とかかれたパッケージについつい心ひかれます。気がついたら手がのびているのです。不思議〜と言いながら「私の手」と客観的に言っているところが面白いです。



 


おまつりでやきいも買った黄金の             小二 倉田智浩

 

 

福本めぐみの評

  黄金いろのやきいもというだけで、ものすごくおいしそうです。おまつりで買ったというとくべつなかんじもあります。

 


 

 

 

 

さくらんぼの句

  

        さくらんぼの句   福本めぐみの評

 

 

ベランダのにぶき動きの夜のばった      中三 本城由比奈

 秋の深まったベランダにばったをみつけました。草原のばったとは違う動きのにぶさに夜の闇に飲み込まれていくばったの生を感じているのかもしれません。小さな生き物にも確かな季節の変化を見てとる作者です。

 

 

川岸の亀の背中に紅葉散る        中一 山村真市

 亀は川岸にいます。のんびりと日差しを受けて甲羅干しをしているのでしょうか。そこへ紅葉がはらはらと散りかかり、紅葉の色が美しく舞いこみました。見ている作者の心が動いたのです。

 

 

秋限定不思議と伸びる私の手       中一 狩屋佑菜

 季節限定でさまざまな製品が売り出されています。収穫の秋は特にその種類が豊富です。秋限定とかかれたパッケージについつい心ひかれます。気がついたら手がのびているのです。不思議〜と言いながら「私の手」と客観的に言っているところが面白いです。

 

 

くつそろえくつの中の紅葉の葉        小五 三原勇真

 ふと靴をそろえようとした時に、くつの中に紅葉の葉が散りこんでいる事に気がつきました。その心の動きが一句になりました。沢山の散紅葉の中でも、靴の中に散り込んだこの一枚がとても美しいとかんじています。

 

 

冬の朝けむりのような白い息         小五 山村隼士

 吐く息がしっかりと白い太いけむりのようです。そんな息がはっきり見える日は「今日は、寒いぞ」と体も心もきゅっとひきしまります。

 

 

焼きいもは寒さふきとぶおいしさだ      小五 倉田 晄

 あつあつの焼きいもを手でつつむように持ってはふはふ息を吹きかけながらひと口、食べたら「おいしいー」となって寒さも吹き飛びました。そして、みんな笑顔になります。

 

 

おちばがねかばんのなかに入ってた       小四 山村竜暉

 おちばっていろんなところにしのびこむのですね。いつの間に入ったのかかばんの中にも。いつの間にと思いをめぐらすと、今日見た景色がつぎつぎとよみがえります。

 

 

見上げると絵の具の赤の冬もみじ        小四 難波美帆

 見上げた紅葉は日がすけてさらに赤くその色は絵の具のようだと発見しました。水彩絵の具には透明感があります。

 

 

あまいかなかわむいたときどんぐりは      小三 狩屋とうあ

 どんぐりをたべようとおもったことはありませんが、ちょうりのほうほうによっては食べられるそうです。かたいかわをむいたら、たしかにおいしそうです。ならの鹿もとてもおいしそうに食べているのを、テレビでみましたもの。あまいのかもしれませんね。

 

 

おまつりでやきいも買った黄金の        小二 倉田智浩

 黄金いろのやきいもというだけで、ものすごくおいしそうです。おまつりで買ったというとくべつなかんじもあります。

 

 

かしゃかしゃとかれはをふんでこわす音      小二 難波孝太朗

 かしゃかしゃというぎおんにとてもよくかれはがかわいていることがつたわります。また、よくかわいて、はっぱがそっくりかえっているのですね。あしでふむときの、おとや、かんしょくをたのしんでいるのです。

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                             

                             


 

       

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