神戸句会

令和5年5月 神戸句会 特選10句

六甲の水そそぐ池目高棲む          真代

新緑の波へ出航船屋形            純子

まづ埋まるパラソル席のカフェテラス     洋子

薫風やマリンルックの似合ふ街        誉子

矜ボタン一つ遊んでゐる薄暑         宏子

あきなひのほどよき光葭簀茶屋        千恵子

県公館明治の薫る若葉風           八資

渡石群るる目高をまたぎけり         佳子

波の先わづかに届き杜若           和子

坂を抜けまた坂がかる街薄暑         洋子

 選者 古賀しぐれ の3句
ホットパンツ破れジーンズ波止薄暑
路地路地に人湧き南京町薄暑
海と空五月の蒼を二等分

令和5年4月 神戸句会 特選10句

山テラス桜の声の聞えさう        つよし

花吹雪舞ひ込む山頂の駅舎        和美

花下に座し西行気分かと問わる      郁子

杖ひいて俳諧ごころ花ごころ       幸子

ハーブの香指に移して春は行く      渓水

整列の色の洪水チューリップ       和子

海へ向く視線の花へまた戻る       洋子

花の昼ハーブの園のロゼワイン      小春

静かなる時間さくらの散るベンチ     洋子

ゴンドラは行き交ひ虻は宙に浮く     渓水

選者 古賀しぐれの3句
花吹雪てふ山の息風の息
ロープウエーてふ空中の花見席
一山の風の息づく新緑裡

令和5年3月 神戸句会 特選11句

春鴎風に乗ること楽しめり         妙子

野遊と言ひ海見ゆる高さまで        和子

客船の引きゆく光春の凪          なごみ

春風やみなとピアノはスケルトン      光子

いかなご船猛進タンカーは遅遅と      宏子

音狂ふ港のピアノ春の昼          英恵

のどけしやあなたまかせのループバス    郁子

空想を展げて海の果おぼろ         郁子

亀鳴くや魔法の椅子の異人館        小春

ベイコウベ春光満つるカフェテラス     智子

選者 古賀しぐれ の3句
大いなる霞を脱ぎて帰港せり
春光を追ひ春光を曳く船路
波といふ綺羅海といふ大霞

   

令和5年2月 神戸句会 特選11句

伝説の灘の一つ火亀の鳴く       ひろ

だんだんに遅るる歩み山霞む      智子

眺望の果は海光梅椿          郁子

谷崎の待ち梅林の紅がちに       純子

切り株に心耳に聴きぬ梅のこゑ     光子

山笑ふ遠まわりして下りけり      佳子

海と空一つとなりて船朧        智子

紀伊和泉摂津一望大霞         八質

健脚の三人組の梅見かな        真理子

木の芽時そはそはしたる雑木山     宏子

 選者 古賀しぐれの3句
神宿る奇岩怪岩朧影
宙に浮く船影灘の遠霞
神世より据うる磐座山朧

令和5年1月 神戸句会 特選10句

臘梅や四半世紀の祈りなり        陽子

旧正やヒッチハイクの女連れ       吉 佳子

街凍つる小籠包の湯気に列        洋子

待春や熟女の引ける恋みくじ       智子

虎落笛ひと日言葉を持たぬ口       ひろ

春隣船笛謡うBEKOBE           八資

中国語華やか南京町四温         英恵

着ぶくれて南京町を狭くせり       ひろ

汽笛とは遠く聴くもの冬霞        妙子

中華街ジャスミンティーに春を待つ    英恵

選者 古賀しぐれの3句
福を呼ぶ赤春を呼ぶ中華街
クルーズの沖の寒さを連れ戻る
海原は光の器春隣

令和4年12月 神戸句会 特選10句

パティシエの白き前掛け聖夜待つ        几城

ポインセチアジャズの流るるショットバー    小春

冬の園日向の椅子の愛さるる          なごみ

アンカーの黒き沈黙開戦日           几城

船待ちのピアノ演奏冬ぬくし          小春

反戦のサンタクロース北野坂          小春

いつもより迫り出す花屋街師走         なごみ

寝不足の加はる今朝の寒さかな         宏子

マフラーは海風仕様神戸つ子          和子

慟哭のサムライブルー冬満月          長佳子

選者 古賀しぐれの3句
サムライブルー冬帝の海と空
オーシャンブルー視野の限りを冬日燦
波音の伴奏クリスマスキャロル

令和4年11月 神戸句会 特選10句

冬ぬくし男子もすなる水占ひ          光子

錦秋や池に人影松の影             智子

今朝よりも空気変りぬ神の旅          千恵子

土橋は林泉の中心紅葉狩り           吉佳子

一水へ風の積みゆく散紅葉           智子

遠汽笛紅葉且つ散る船屋形           八資

掛茶屋のはやも売切れ栗絞り          洋子

紅葉映ゆ春慶塗の船屋形            純子

朔日の神事粛粛初しぐれ            宏子

松仕立てなり波音の菊盆景           和子

選者 古賀しぐれの3句
俳諧のしじまを打ちぬばつたんこ
遊山の騒俳諧の静紅葉狩
蒸菓子と熱き茶所望紅葉冷

         

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